著名商標保護の範囲

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 著名商標保護の範囲

■ ハイライト
コピーしている? スーパーマンはガソリンスタンドに対して提訴したが、敗訴した。
映画で永遠に不敗の「スーパーマン(SUPERMAN)は今回、台湾の「北基ガソリンスタンド」との商標紛争で敗北を喫した。

商標は誰もが知っているほどに至っていない
米国のスーパーマン漫画出版業者「DCコミックス社(DC COMICS)」はこのほど、台湾の北基ガソリンスタンドの商標が同社のスーパーマン商標に類似していることに気づき、北基ガソリンスタンドに対して、提訴した。しかし、裁判官はスーパーマン商標の台湾における知名度は一般者の周知に至っていないほか、両者の商標の類似度は低く、市場に区別性があるとし、消費者に混同を引き起こすことはないと認め、米国の出版会社の敗訴と判決したが、本件は上告できることとなっている。

北基ガソリンスタンドの商標はすでに変更した
昨日、北基ガソリンスタンドの幹部らは週末なので出社していないことを理由にして、コメントを控えている。一方、従業員の非正式な話しによると、同社はスーパーマン商標紛争の後、元のスーパーマン商標、ユニフォームおよび関連商品を全面的に変更し、更にポスターもすべて廃棄処分にし、会社側から「月曜日にまとめて回答する」との指示を受けた。よって、勝訴はしたものの、北基「スーパーマン」商標に戻すかは、まだ不明である。

米国のDCコミックス社の委任を受けた理律法律事務所のパトナー蒋大中氏もお客様の指示がない限り、コメントは控えたいとのことでした。
1938年に作家Jerry Siegelと画家Joe Shusterによって創作されたスーパーマン作品は、DCコミックス社がマンガ雑誌「アクション漫画第1集」(Action Comics #1)に漫画ヒーローを漫画ファンたちに紹介して以来、60年経った現在でもなお強い魅力とビジネスチャンスを有している。

北基ガソリンスタンドは1988年に会社設立され、今年は22年目で、中国石油の各種油品を販売している。2008年にDCコミックス社が、北基ガソリンスタンドの商標がスーパーマンに類似していることに気づき、異議を申立て、知的財産局が審査した結果「異議申立棄却」との処置を言い渡され、DCコミックス社はこれに承服できず、訴願を提起したが、やはり棄却されたため、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。

DCコミックス社提訴の内容
DCコミックス社は、スーパーマン商標の「ダイヤモンド形の盾」はスーパーマンの正義イメージを表し、古くなるほどが新しく感じられており、かつこれに関する映画、動画も1979年に封切りしてからすでに30年の歴史を有している。一方、ス―パーマンの胸部の商標も「ス―パーマン」のストリーによって、人々に深い印象を植えつけているため、商標自体に強い識別性を有し、国内の消費者のほとんどに認知されていると主張している。
DCコミックス社はさらに、北基ガソリンスタンド商標の胸部の「星型商標」と靴ともスーパーマン商標に類似し、色もほとんど同じであるほか、従業員のユニフォームや付設したコンビニにもこの商標がついている。よって、消費者の混同を招き、両者に許諾関係または異業種同盟関係がするものと誤認する恐れがあり、また、消費の対象も重複しているため、裁判所に北基ガソリンスタンド商標の登録を取り消すよう要請している。

両者商標の外観が類似していない
これに対して、北基ガソリンスタンドは両者商標の外観、コンセプトならび読み方とも近似していなく、DCコミックス社の商標は主に映画、漫画作品に使用されており、北基ガソリンスタンドの商標登録はガソリンスタンドサービス業の使用を登録出願している。両者は功能、メーカーおよび販売ルートにおいてもそれぞれ異なり、市場の相違性も顕著であることから、利益の競合関係を有しない。客観的に見ても、消費者に混同や誤認の恐れはないことを反論した。裁判官が審理した結果、北基ガソリンスタンドの主張に理由があることを認め、告訴を棄却した。(自由時報2010/8/22‧B2-記者 王定伝、項程鎮)

II 判決内容の要約

基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】99, 行商訴, 61 
【裁判期日】990812 
【裁判事由】商標の異議 

原告 DCコミックス社(DC COMICS)
被告 経済部知的財産局
参加人 北基ガソリンスタンド株式会社

前記当事者間による商標異議申立事件について、原告は経済部2010年1月19日経訴字第09906050470号訴願決定に不服として、行政訴訟を提起した。本裁判所は以下のとおり判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
参加人は2007年6月22日に「北基ガソリンスタンド標章」の商標を商標法施行細則第13条により、商品・サービス分類表第39類のガソリンスタンドのサービスとして被告に商標登録を出願し、被告が商標登録第1306607号(以下係争商標と称する。付図1に示す通り)として許可した。その後、原告は2008年6月30日に、係争商標が商標法第23条第1項第12号に違反するとして、異議を申し立て、被告により審査した結果、2009年6月23日に中台異字第970686号商標異議決定書で「異議不成立」の処分にした。原告は不服として、訴願を提起したが、再び棄却されたため、本裁判所に行政訴訟を提起した。本裁判所は本件訴訟の結果について、もし訴願の決定及び元の処分を棄却し、参加人の権利又は法律上の利益に損害を与えることになると認めたので、行政訴訟法第42条第1項の規定により、職権によって本件被告の訴訟に独立参加するよう裁定した。

二 両方当事者の請求内容
原告:訴願の決定および元の処分を破棄し、被告が商標登録第01306607号「北基ガソリンスタンド標章」商標異議の事件おいて登録取消の処分にすべきであることを請求する。
被告:原告の訴えのを棄却を請求する。

三 本件の争点
本件の争点は前述「商標法第23条第1項第12号著名商標保護審査基準」にあり、原告は争議の商標の「著名度」および係争商標との間の「商標類似度」などの要素は、すでに係争商標の登録は商標法第23条第1項第12号前段規定および同号後段規定の適用が十分か否かである。

四 判決理由の要約
(一) 商標が「他人の著名な商標または標章と同一又は類似し、関連する大衆に誤認混同を生じさせる恐れがあり、又は著名商標又は標章の識別性又は信用・名誉に損害を生じさせる恐れがあるもの」は登録を受けることができないことは、商標法第23条第1項第12号に明文で規定されている。いわゆる「関連する大衆に誤認混同を生じさせる恐れがある」とは、消費者によって、係る商標が商品の出所または生産の主体に混同または誤認の恐れがあることという。さらに、「著名商標または標章の識別性あるいは信用を損なう恐れがあるもの」とは、消費者によって、係る商標が不公平な方式または著名商標の識別性を不正に利用することにより、著名商標の価値を減少させ、または著名商標に便乗して利益を獲得することという。
(二) 「関連する大衆に誤認混同を生じさせる恐れがある」ことに該当するか否かは、両方当事者の商標が類似しており、かつ争議の商標が著名商標である2つの主要条件のほか、商標識別性の強さ、消費者の馴染み度合いおよび両者の商標に使用される商品またはサービスの類似ならび類似度に基づくべきである。さらに、商標法第23条第1項第12号本文後段「著名商標又は標章の識別性又は信用・名誉に損害を生じさせる恐れがあるもの」については、経済部2007年11月9日授智字第09620031170号令「商標法第23条第1項第12号著名商標保護の審査基準」3.3.1ないし3.3.5の(1)当該商標の著名度の要求は同号規定より優位性を有する。(2)両者の商標図案の類似度の要求について、商標希釈化の恐れがある商標の類似度に対する要求は混同や誤認の恐れより優位性を有する。(3) 商標は、もし第三者がすでに幅広く異なる商品・サービスに使用している場合、当該商標の排他的な使用程度は低く、その識別性または信用の減損可能性も低い。(4)商標希釈化を保護する客体は、識別性と著名度の高い商標とし、創意性を有する商標は容易にこのような識別性と著名度に達しやすい。(5) 著名商標の識別性と信用が減損される判断要素は、そのほかに参考する要素があることを公布している。
(三) 商標法第23条第1項第12号本文前段について
1.係争商標全体の図案は五角形の星図案である。そのうち、2つの墨黒の円形内部に大小の点状の瞳とした目の部分であり、上方に曲げた円弧線部は口の部分であり、円弧線の下方に「S」図案を設け、下部2つの隅部に赤塗りして、赤靴をつけた微笑み表情を有した類人間のカートン図形を構成する。そのうち、「S」図案と異議申立の「S in Shield」商標の図案は、ダイヤモンド形の図案枠内部にアルファベット「S」をあしらっているところが類似しているため、商標の類似を構成する。一方、係争商標「ダイヤモンド形の図案枠内部にアルファベットSをあしらった」商標は、係争商標が2007年6月22日に商標登録する時点では、原告が長期にわたり広告マーケッティングしており、我が国の当業者または消費者によって一般的に認識されており、著名商標に当たる。
2.これに対して、係争商標は主に映画、衣類、コップ、時計、玩具などビデオ、音楽、娯楽およびその関連に使用され知名度を有している。一般はデパート、専売店などのチャンネルでマーケッティングや販売しており、係争商標が「ガソリンスタンド」サービスに指定し一般者への給油サービスを提供し、サービス拠点はガソリンスタンドである。両者の(指定)使用するサービスと商品の性質、内容、機能、用途、マーケッティング・チャンネルまたは場所、サービス対象およびサービス提供者とも別々であり、市場も異なっている。
3.よって、係争商標図案はさらに2つの墨黒の円形内部に大小の点状の瞳とした目の部分と、2つの隅部に赤塗りして、赤靴をつけた微笑み表情を有した類人間のカートン図形が区別できるため、両者商標の類似度は高くないほか、両者の商標がそれぞれ(指定)使用する商品またはサービス性質は別々であり、市場もは異なっている。さらに営業利益のかち合いが明らかでない。一般大衆は両者商標の相違点を区別でき、混同や誤認の恐れはない。商標法第23条第1項第12号前段款前段は係争商標の登録には適用できないと判断する。
(四) 商標法第23条第1項第12号本文後段について
前述とおり、原告の係争商標は主にビデオ、音楽、エンターテインメントおよびその関連の衣服、アクセサリ、玩具などの商品またはサービスに知名度を有している。係争商標は当該商品またはサービス分野の関連消費者に馴染みはあるものの、係争商標の表す識別性または信用は国内の多くの地域の一般大衆に一般的に認識され、商標法第23条第1項第12号本文後段で要求するより高い著名度を証明するための十分な証拠は、現時点には有していない。よって、係争商標の識別性を不公平な方式または著名商標を不正方式の利用により、商標の識別性または信用を減少させる恐れを認めることはできず、かつ商標法第23条第1項第12号本文後段は適用できないと判断する。
(五) 前述とおり、被告が係争商標は商標法第23条第1項第12号の違反を認めず、本件に対する「異議不成立」の言い渡しには違反または間違いは見当たらず、申立の決定を維持したことにも、間違いはない。原告が訴願および元の処分を破棄し、被告が係争商標に対する異議申立の成立を言い渡し、商標登録の取消処分の請求に理由はなく、棄却すべきである。
前述より論結すると本件原告の訴えに理由はなく、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段により、主文のとおり判決する。

2010年8月12日
知的財産裁判所第2法廷
審判長裁判官 陳国成
裁判官    蔡恵如
裁判官    陳忠行

 

(係争商標図案)
付図1
商標登録出願第1306607号
1306607

(異議申立商標図案)
 付図2 
商標審決第127070号
127070
 
付図3
商標審決第836507号、838825号、842014号、843620号
836507

 

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor