「旺老牌」が誤認混同を生じさせることはない 旺旺が訴訟を提起したが、敗訴判決を受けた

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 「旺老牌」が誤認混同を生じさせることはない 旺旺が訴訟を提起したが、敗訴判決を受けた

■ ハイライト
蔡合旺公司は「旺」老牌甜不辣商標の旺字が、「旺旺」商標と同一なので、先方の商標の取消しを要求したが、知的財産局が許可をしなかったので、知的財産裁判所に訴訟を提起した。合議廷は、商標図案の類似度が極めて低く、消費者が購入する時、両商標の出所が異なることを弁別でき、誤認混同を生じさせることがないと認定し、蔡合旺公司に敗訴判決を下した。
宜蘭食品公司は1962年に成立し、旺旺グループ傘下の会社であり、中国語「旺旺」を米菓等商品に使用しているが、蔡合旺公司も旺旺グループ傘下の会社である。
判決書では、「旺旺」商標は2008年1月中旬に、登記を蔡合旺公司に変更し、民衆葉孟唐は同年4月中旬に、「旺老牌」商標登録を出願し、許可を得たが、蔡合旺公司は異議申立を行い、知的財産局は「異議申立の不成立」の処分を下した。蔡合旺公司は訴願を提起したが、拒絶されたので、知的財産裁判に行政訴訟を提起した。
知的財産局は、両商標が類似ではなく、その論争している「旺」字の識別性が極めて低く、誤認混同を生じさせる虞がないと認定した。合議廷は、両商標にも旺字があるが、旺字はよく見られる中国語であり、類似程度が低く、消費者が購入する時、普通に注意すれば、出所が異なることを区別でき、誤認することがなく、更に誤認混同を生じさせることもないと認定した。(自由時報2010.11.05 A5)

II 判決内容の要約

■基礎データ

知的財産裁判所 裁判書 -- 行政類
【裁判番号】99年度行商訴字第104号
【裁判期日】2010年10月28日
【裁判事由】商標異議申立

原   告 蔡合旺事業股份有限公司
被   告 経済部知的財産局
参 加 人 丙○○

主 文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
参加人は2008年4月11日に「旺老牌」商標について、商標法施行細則第13条に定める商品及び役務の区分表第34類の「飲食店、ファーストフード、バッフェレストラン、屋台」商品における使用指定を行い、被告に対して商標登録を出願し、被告によって第1351009号商標(以下は係争商標と称する)として登録された。その後、原告はその登録が商標法第23条第1項第12号、第13号規定に違反したとして、係争商標に対する異議申立を行った。被告による審査の結果、「異議申立不成立」の処分を下した。原告はこれを不服として訴願を提起したが、経済部の決定で拒絶されたので、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一) 原告の声明:(一)原処分及び訴願決定を取消す。(二)被告は第1351009号「旺老牌」商標登録の査定を取消すべきである。
(二) 被告の声明:原告の訴えを棄却する。

三 本件の争点
本件争点は係争商標が商標法第23条第1項第12号、第13号の規定に違反するか否か?
(一)原告主張の理由:略;判決理由説明を参照。
(二)被告答弁の理由:略;判決理由説明を参照。

四 判決理由の要約
(一) 商標が他人の著名商標又は標章と同一又は類似し、関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがあり、又は著名商標又は標章の識別性又は信用・名声に損害を生じさせるおそれがあるものは、登録を受けることができないが、当該商標又は標章の所有者の同意を得て登録出願するときはこの限りでない。また商標は同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるものは、登録を受けることができないと商標法第23条第1項第12号、第13号に明文で定められている。また本条項第12号前段、第13号に商標類似が「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある」、「関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがある」こと等の要件があれば、登録を受けることができない事由になるとも規定されている。また所謂「関連する公衆に誤認混同を生じさせるおそれがある」、「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある」ことについては、商標が商品を表示する出所または製造主体について関連する消費者、公衆に誤認混同を生じさせるおそれがあることを指す(最高行政裁判所98年度判字第455号判決を参照)。
(二) いわゆる「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるか」とは、両商標が同一又は類似を構成しているため、関連する消費者が同一商標であると誤認する、又は同一商標であるとは誤認するには至らないものの、両商標の商品/役務が同一の出所からのシリーズ商品/役務であると誤認する可能性が極めて高く、又は両商標の使用者の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると誤認させることを指す。
また二商標は誤認混同のおそれがあるかどうかを判断するにあたっては、 (1)商標識別力の強弱;(2)商標が類似するか否か、及びその類似の程度;(3)商品/役務が類似するか否か、及びその類似の程度;(4)先使用権者の多角化経営の情況;(5)実際に誤認混同を生じさせる情況;(6)関連する消費者の各商標の認知程度;(7)係争商標の出願人には善意があるか否か;(8)その他の誤認混同の原因等、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるかを総合的に認定しなければならない。。
(三) 商標とは、商品又は役務に関連する消費者が商品又は役務の標識を示すものであることを認識するに足り、他人の商品又は役務と区別できるものでなければならず(商標法第5 条の規定を参照)、特定商品または役務の出所を表示する重要な効能がある。また商標法第23条第1 項第12号後段で言う著名商標又は標章の識別性に損害を生じさせるおそれがあるものとは、第三者が著名な商標権者または標章権利の所有者の同意を得ずに、無断で当該著名商標または標章と同一または類似の商標を使用し、当該著名商標または標章の本来有する高度に独自性を示し、且つ特定な商品または役務出所の特徴及びイメージに損害を生じさせ、当該著名商標または標章には2つ以上の出所があるので、当該著名商標または標章の識別性に稀釈させる可能性がある。
(四) 我国の関連公衆、消費者の異議申立ての根拠とする商標に対する認知程度が高いので、著名商標である。:
調べたところ、異議申立ての根拠とする商標は本来訴外人宜蘭食品工業股份有限公司(以下は宜蘭食品公司と称する)の所有であり、2008年1月16日に登記を原告に変更され、且つ公告された(異議申立ファイル第10、12頁を参照)。また1962年に宜蘭食品公司が成立し、中国語「旺旺」を米菓等商品に使用し、1992年から国内のテレビ放送局で広告を放送し、特に中元節、旧暦のお正月等の番組で広告を放送し、消費者に強いイメージを与えた。且つ1992年に中国で工場を設置し、2000年までに、宜蘭食品公司は既に中国の二番目のスナック食品企業となった。中国での販売で最も儲けている台湾業者である。また宜蘭食品公司の「旺旺」シリーズ製品は発売以来、消費者に喜ばれ、国内の販売通路は各地の大売場、スーパー、コンビニエンスストア等が拠点であり、中国では何回も消費者に喜ばれるブランド賞を受け、異議申立ての根拠とする商標は1997年及び2001年に中国遼寧省、瀋陽市、湖南省工商行政管理局に著名商標であると認定され、且つ2000年に中国国家工商行政管理局商標局に全国重点保護商標であるとも認定された。近年來、宜蘭食品公司所属のグループは本業の食品販売の外に、醫療、飲食店、ホテル、対物賠償保險、メディア等の領域にもかかわり、多角化経営の企業であり、当該案の異議申立てられた商標は2004年12月16日に登録が出願される前に、異議申立ての根拠とする商標で表彰する信用評判は関連事業または消費者に知られ、著名商標であること等の事実は、被告の2009年12月23日中台異字第G00971038号商標異議査定書で認定されていることは、被告も論争しない。よって、異議申立ての根拠とする商標は早くも2008年4月11日の係争商標の登録が出願される前に既に著名商標になり、既に国内、外の関連業者及び消費者に認知されていた。
(五) 係争商標と異議申立ての根拠とする商標図案の類似程度が極めて低い:
1.係争商標図案は一重の円に囲まれた中国語「旺」字の設計図、及び中国語「老牌甜不辣」が左から右への排列により構成されたものであり、その中「老牌甜不辣」について参加人が専用ではないと声明したが、専用ではない部分は商標全体の図案と比較すべきある。係争商標図案の「旺」字はよく見られる中国語で、盛んであり、または状大な意味がある。また「老牌甜不辣」は係争商標指定の屋台等役務内容の説明であり、その全体的な商標図案は参加人が経営している「老牌甜不辣」の商売繁盛のイメージを伝えた。異議申立ての根拠とする商標は単なる縦書きの中国語「旺旺」で構成され、係争商標図案と比較すると、いずれも同一の中国語「旺」字があるが、二者が人に与えるイメージが明らかに異なり、且つ全体的な商標図案の設計及び伝える概念にも顕著な差異があり、時間と場所を異にして隔離的かつ全体的に観察し、呼称の際、普通の知識経験を有する一般商品消費者が購買時に普通の区別と注意を施し、係争商標と異議申立ての根拠とする商標の各自表示している役務出所または役務主体の類似程度が極めて低いので、区別できる。
    2.原告は、係争商標と異議申立ての根拠とする商標が主に人に与えるイメージ及び観念がいずれも「旺」字であり、二者の外観、観念及び呼称を観察すると、いずれも類似で、類似商標を構成すると認められる云々と主張した。しかし商標図案の判断は全体的な商標図案が消費者に与えるイメージが対象で(即ち全体的に観察する原則)、原告の前記係争商標と異議申立ての根拠とする商標を比較する方式は、中国語「旺」1字にとどまり、係争商標図案の「旺」字は一重の円にあり、且つ「老牌甜不辣」のその他文字で構成されることを見落とし、原告が全体図案を分けて判断したことは、当然合理的ではない。
(六) 係争商標は関連公衆、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがない。:
異議申立ての根拠とする商標は参加人及びその前手宜蘭食品公司が販売として長期的に国内、外で使用した著名商標であり、且つ係争商標を「飲食店、小規模飲食店、ファーストフード、バッフェレストラン、屋台」役務にも指定使用し、異議申立ての根拠とする商標も「......鍋料理店、バッフェレストラン、食品デリバリー、出張料理サービス、点心レストラン、モーテル、......観光宿泊施設、老人ホーム」役務に指定使用し、その役務用途、効能、役務対象、役務提供の場所等とは、共通または関連の処があるが、係争商標と異議申立ての根拠とする商標図案の類似程度が極めて低く、関連公衆、消費者が購買時に普通の注意を施し、時間と場所を異にして隔離的に係争商標と異議申立ての根拠とする商標を観察する時、係争商標の全体図案で役務を表示するシンプルであると認識でき、且つ異議申立ての根拠とする商標の役務と比較した時に、これにて異なる出所であると区別でき、関連公衆、消費者に誤認混同を生じさせることがない。従って、客観上、係争商標は係争商標と異議申立ての根拠とする商標の役務が同一の出所であると関連公衆、消費者に誤認させなく、またはその使用者間に関係企業、許諾関係、加盟関係またはその他の類似関係が存在すると誤認させ、誤認混同を生じさせるおそれがない。よって係争商標の出願登録は商標法第23条第1項第12号前段、第13号の規定に違反しない。
(七) 係争商標は異議申立ての根拠とする商標の識別力に損害を与えるおそれがない:
原告は係争商標の使用が必ず異議申立ての根拠とする商標がかつて強烈的に単一の出所を示す特徴及び吸引力を次第に弱め、または分散する云々と主張した。しかし、たとえ異議申立ての根拠とする商標は一定の知名度があり、我国の消費者にもよく認知されていても、係争商標と異議申立ての根拠とする商標図案の類似程度が極めて低く、係争商標で使用された「飲食店、小規模飲食店、ファーストフード、バッフェレストラン、屋台」役務、と異議申立ての根拠とする商標で使用された「......鍋料理店、バッフェレストラン、食品デリバリー、出張料理サービス、点心レストラン、モーテル、......観光宿泊施設、老人ホーム」役務の出所が異なると関連消費者が弁別でき、関連消費者が係争商標とその提供の役務について連想し、異議申立ての根拠とする商標の本来原告の単一の出所を示す効能を弱め、複数の出所になり、異議申立ての根拠となった商標の識別力を弱化させるおそれがない。従って、原告のこの部分の主張は、信用できない。よって係争商標には商標法第23条第1項第12号後段で定められている登録を受けることができないという事情がない。

以上をまとめると、係争商標には商標法で定められている登録を許可しない情況がないので、被告の「異議申立不成立」の処分は、維持すべきである。原告の訴えは棄却されるべきである。

中華民国99年10月28日

 

附図一、 係争商標図案
登録第1351009号
(商標図案中の「老牌甜不辣」は専用ではない)
老牌
 
附図二、 異議申立ての根拠とする商標
登録第1174816号
旺旺
 

 

 

五 関連条文抜粋
行政訴訟法 第 98、111 条(99.01.13)
知的財産案件審理法 第 1 条(96.03.28)
商標法 第 5、23 条(92.05.28)
商標法施行細則 第 13 条(96.09.03)

 

 

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