韓国「VOV」商標、米国著名ブランド「VO5」との類似で敗訴

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 韓国「VOV」商標、米国著名ブランド「VO5」との類似で敗訴

■ ハイライト
韓国VOVと米国ヘアケアブランドVO5の商標類似争議
「VOV」は韓国で三大コスメブランドの一つに数えられ、2009年にドラッグストアの屈臣氏(Watsons)が代理店となり台湾市場に進出している。一方、「VO5」は米国のアルベルト・カルバー(AlbertoCulver)が発売しているシャンプー等のブランドで、1976年から美吾華股份有限公司 (Maywufa Company Ltd.)が台湾で代理販売している。[知的財産裁判所行政判決 99行商訴92]
VOVは台湾市場に進出する前の2008年末に経済部知的財産局に対して「VOV」の商標登録を出願し、コスメ製品が2009年6月から台湾で販売された。しかし同年末に知的財 産局は当該商標がアルベルト・カルバーの商標「VO5」に類似しているという理由で拒絶している。韓国の薇歐薇(VOV)はこれを不服とし、知的財産権裁判所に対して行政訴訟を提起した。
韓国の薇歐薇(VOV)は商標「VOV」は3個のアルファベットにはすべて四角の枠があるのに対して、商標「VO5」は単純なアルファベットと数字だけで構成されているため、両者の違いは大きく消費者に誤認を生じさせるおそれはないと主張した。
一方、知的財産局は2つの商標が登録した製品の範囲にはシャンプーが含まれ、販路が重複する可能性がある。さらに韓国の商標の三番目の「V」はローマ数字 の5に類似していると判断していた。知的財産裁判所は知的財産局の主張を取り入れ、韓国企業(VOV)に敗訴を言い渡した。(聯合報20101110/A8)

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】99年度行商訴,92 
【裁判期日】2010年10月28日
【裁判事由】商標登録出願 
原   告 韓国・薇欧薇化粧品股份有限公司(VOV Cosmetics Co., Ltd.)
被   告 経済部知的財産局
上記当事者間の特許登録出願事件につき、原告は2010年3月18日経訴字第09906052870号の訴訟決定を不服として行政訴訟を提起した。本裁判所は以下のように判決を下すものである。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2008年11月18日被告(経済部知的財産局)に対して、商標法施行細則第13条に示されている商品及び役務の区分表第3類の洗顔石けん、石けん、口紅、化粧品、美容マスク、化粧品セット、日焼け止めクリーム、マニキュア、香水、人体用洗剤、動物用化粧品、香、歯磨剤、アロマオイル、研磨剤およびネイルトップコート等商品における使用を指定し、「VOV 及び図」商標(以下、「本願商標」とする)の登録を出願した。被告が審査した結果、本願商標の図案が拒絶査定理由の第64112号「VO5」商標(以下、「引用商標」)に類似しており、且つ前者が洗顔石けん、石けん、口紅、化粧品等の商品に使用するのに対して、後者はヘアケア製品、シャンプー、ヘアトニック、ヘアジェル等に使用しており、同一又は類似の商品に属するため、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあり、登録を許可すべきではないと判断し、2009年11月16日商標拒絶査定第319015号査定通知書を以って拒絶査定の処分を下した。原告はこれを不服として訴願を提起し、経済部は2010年3月18日経訴字第09906052870号訴願決定を以って棄却した。原告はこれを不服として、本裁判所に対して行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告: 1.原処分及び訴願決定の取消を請求する。2.被告が原告第097053073号「VOV 及び図」商標登録出願案件に対して登録を許可することを請求する。
(二)被告:原告の訴えを棄却することを請求する。

三 本件の争点
本願商標「VOV 及び図」が他人の同一又は類似の商品における登録商標「VO5」と同一又は類似の商標に属し、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるかどうか?
(一)原告側の主張:略。判決理由の要約を参照。
(二)被告側の主張:略。判決理由の要約を参照。

四 判決理由の要約
(一) 同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似であり、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるものは登録を受けることができないと、商標法第23条第1 項第13号に明記されている。また商標法第23条第1 項第13号において商標の類似は「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの」の要件を満たす必要がある明記され、それによって登録を受けることができない事由が構成される。またいわゆる「関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるもの」とは、商標が関連する消費者にそれが表彰する商品の出所又は生産の主体に対して誤認混同を生じさせるおそれがあることを指す(最高行政裁判所2009年度判字第455 号判決を參照)。
(二) 本願商標の図案が引用商標と類似している。
調べた結果、本願商標の図案は外国語「VOV 」を主体としており、3個のアルファベットには四角の枠があり、前後2個の「V」は黒地に白字、中間の「O」は白地に黒字で、3文字が横に並列して構成されている。引用商標の図案はアルファベットと数字の「VO5」を主体とし、字体が太くて丸く、字体の各線中央に嵌め込まれた白線で構成されている。両者を比較すると、図案はいずれもアルファベットをデザインの主体としており、「V」、「O」の2文字で始まる。本願案件の最後の「V」はローマ数字の5であるため、引用商標における「5」と数字の観念上同一であり、類似しているといえるため、両者は総体的にみて類似の商標に属する。
(三) 本願商標の指定商品が引用商標の指定商品と類似し、且つ類似の程度が高い。
次に、本願商標は元来「洗顔石けん、シャンプー、石けん、口紅、化粧品、美容マスク、化粧品セット、日焼け止めクリーム、マニキュア、香水、染毛剤、ボディシャンプー、手洗い石けん、人体用洗剤、動物用化粧品、香、歯磨剤、アロマオイル、研磨剤およびネイルトップコート」を指定商品としていたが、その後原告が2009年9月22日付商標意見書において「シャンプー、染毛剤、ボディシャンプー、手洗い石けん」に指定商品の範囲を減縮する意向を示している。しかしながら、減縮後の指定商品を引用商標の指定商品である「ヘアケア製品、シャンプー、コンディショナー、ヘアトニック、トリートメントオイル、ヘアクリーム、ヘアウォーター、ヘアオイル、ヘアジェル、ヘアスプレー、ヘアムース」と比べると、いずれも人体の衛生、容貌の修飾、香り付けのための用品に属し、効能、原料、成分、生産者及び販路のいずれも高度に重複していているため、同一又は類似の商品に属し、且つ類似の程度が高い。
(四) 本願商標の図案と引用商標の図案の近似を斟酌する。本願商標の指定商品と引用商標の指定商品が類似に属し、且つ類似の程度が高い。引用商標は本願商標よりも早く登録を出願しており、登録を許可されている。又、本願商標が原告によって長期的に幅広く指定商品に使用され、台湾の関連する消費者に認識されており、引用商標と出所が異なることを十分に識別でき、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがないことを原告が証明していない。且つ本願商標と引用商標がその他の国で並存して登録されている、訴願人の「VOV」ブランド化粧品が自国で化粧品トップブランド10において5位を占める等はいずれも、本願商標の商品がわが国で実際に販売されたという証拠にはならない。このため、客観的に本願商標は関連する消費者に引用商標の商品と出所が同一のシリーズ商品であると誤認させる、又は両商標の使用者間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他これらに類する関係が存在すると誤認させ、誤認混同を生じさせるおそれがある。本願商標の登録出願は商標法第23条第1項第13号の規定に反する。

従って、本願商標の登録出願案件に対して拒絶査定を行った原処分には法に合致しないところがなく、訴願決定を維持されたことも法に合致している。原告による原処分及び訴願決定の取消と被告に対する本願商標の登録許可の請求については理由がないため、棄却するものとする。

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