「超神拖把」商標登録、商標法違反で敗訴

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 「超神拖把」商標登録、商標法違反で敗訴

■ ハイライト
台中市の個人業者、江○○が「超神拖把」という文字を商標として経済部知的財産局に商標登録を出願したが、消費者に商品が「超神」(マジカルな)機能をそなえていると誤認させるおそれがあるとして拒絶査定された。当該業者はこれを不服として、知的財産裁判所に行政訴訟を提起したが、裁判官は知的財産局と同じ見解を示し、敗訴を言い渡した(知的財産裁判所行政判決-99行商訴144)。
知的財産局は、「超神拖把」の全体的な意味が消費者に当該モップには「超神」機能があると連想させ、商標法に該当しないため、登録を受けないとの見解を示した。 
また知的財産裁判所の裁判官によると、商標法第23条第1項第2号で「商標が商品又は役務の形状、品質、効能又はその他説明的なものを示す場合、登録を受けることができない」と定められており、「超神拖把」には「マジカルで、きわめて使いやすいモップ」の意味があり、かつ商品の品質、効能を説明しているため、商標法に基づき商標の拒絶査定をしたことは不当ではない。 
江○○側の主張によると、「超神拖把」商標登録を出願した際に、商標中の「拖把」(訳注:モップの意)二文字の専用を放棄する、つまり商標の中の「拖把」という二文字は江○○が専用するものではないと声明して商標が品質を説明するという問題を回避したにも関わらず、知的財産局は主観的に「超神」の二文字が商品の品質と効能を説明しているとして拒絶査定した。しかしながら過去に「超神」の商標登録を認めたケースが2件あり、商標審査にダブルスタンダードが存在する疑いがあるとして、裁判官に原処分と訴願決定の取消を申立てた。 
知的財産裁判所の裁判官は、当該業者が提出した「超神爐」と「超神」等の商品はそれぞれ給水衛生設備装置及び車両の商品区分で商標登録が行われており、登録した区分、図形文字が本件とは異なるため、江○○がこれらを理由に「超神拖把」の商標登録を受けられるべきものと主張する根拠にすることはできないとの判断を下した。(聯合報20101204/A16)

II  判決内容の要約

■基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】2010、行商訴、144
【裁判期日】20101125
【裁判事由】商標登録
原   告 江孝宏
被   告 経済部知的財産局

上記当事者間における商標登録事件につき、原告は経済部による2010年6月2日経訴字第09906057470号訴願決定を不服として、行政訴訟を提起したところ、本裁判所は次のとおり判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告はかつて2008年12月24日付で「超神拖把」商標を(商標見本にある「拖把」(モップ)につき権利不要求を声明した)(以下本件商標という)商標法施行細則第13条所定の改正前商品及び役務区分表第21類の「モップ、雑巾、水桶、手桶、非人体用清潔ブラシ、清潔用スポンジ、食品保存容器」指定商品に使用し、被告に商標登録を出願した。被告は審査を経て、本件商標見本にある「超神拖把」の全体的な意味から、使用する指定商品の品質、効能の説明に該当すると認定し、商標法第19条規定を適用しないばかりでなく、同法第23条第1項第2号規定の適用にも該当するので、登録を拒絶すべきであるとして、2010年2月11日第320922号審決書で拒絶査定の処分を下した。原告はこれを不服として、訴願を提起したところ、経済部により2010年6月2日経訴字第09906057470号訴願決定で棄却されたのに対して、原告はなおも不服として、遂に本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一) 原告の声明:
訴願決定及び原処分を共に破棄する。
訴訟費用は被告の負担とする。
(二) 被告の声明:
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

三 本件の争点
本件商標を使用した「超神拖把」は商標法第23条第1項第2号の適用に該当するか否か?
「拖把」につき権利不要求を声明した後、登録を受けることができる否か?
別件では「超神」二文字をもって登録査定されているのに対して、知的財産局による処分が行政程序法第六条でいう差別待遇の違反に該当するか否か?
(一) 原告主張の理由:省略。判決理由の説明をご参照下さい。
(二) 被告答弁の理由:省略。判決理由の説明をご参照下さい。

四 判決理由の要約
(一) 「商品又は役務の形状、品質、効能又はその他説明的なものを示す場合、登録を受けることができない」と商標法第23条第1項第2号に明文で規定されている。また「商品の説明的なもの」とは、商標の文字、図形、記号、色彩、音声、立体形状又はその組み合わせを言うものである。社会通念により、もし商品自体の説明又は商品自体の説明と密接な関係があるものは、登録を受けないという同号の規定を適用する。更に「商標が説明的であり、又は識別性を備えない文字、図形、記号、色彩又は立体形状を含み、当該部分を削除すれば商標の一体性を失う場合、出願人が当該部分について権利不要求を声明したときは、当該商標を以って登録出願することができる。」と商標法第19条に明文で規定されている。言い換えれば、もし商標見本の全体はすべて説明文字であり、又は識別性を備えない場合、図形の一部につき権利不要求を声明して登録を受けることなど毛頭ない。
(二) 調べた結果、本件商標見本が単純で未設計の中国語「超神拖把」から構成され、当該文字全体から考察すれば、「マジカルで、極めて使いやすいモップ」の意味があり、それを商標見本として、モップ、雑巾、非人体用清潔ブラシ、清潔用スポンジ又は前記の商品とよく併せて使用されている水桶、手桶など商品に使用し、関連する消費者に当該商品が新奇で、使いやすい機能があると直ちに連想させ、商品品質の説明文字に該当することから、商標法第23条第1項第2号に基づき、登録を受けるべきではない。且つ原告は、実際に本件商標を使用した証拠資料を挙証することができなかったことから、本件商標が使用されれば、取引上その商品を識別する標識となるので、商標法第23条第4項規定の適用に該当するとは言われ難いものである。また、原告は本件商標見本の「拖把」につき権利不要求を声明したにも関わらず、本件商標見本の「超神拖把」全体は、すべて商品の説明文字であり、「拖把」の部分だけが商品の説明文字ではないことから、商標法第19条に基づき、当該部分につき権利不要求を声明した後、登録を受けることができるとの原告の主張は明らかに採用できないものである。
(三) 行政程序法第6条では、もとより行政行為に正当な理由なくして、差別待遇を与えることができないと規定されている。つまり、行政の自己拘束原則である。しかしながら、当該原則は国民が行政行為の一貫性に対する信頼を維持するために、行政機関が本質的に同一事件を同じく処理するよう要求するものである。登録第0000000号「超神」及び第0000000号「超神爐」の図形文字が本件のそれとは完全に同一ではなく、事件の状況も異なることから、これに基づき本件商標の登録が認められるべきであると主張する根拠になり得ぬことは当然である。それ故、原告が前記の商標登録資料を根拠にしただけで、当該商標の登録が本件商標のそれと同一であるとは認められ難いので、直ちに引用することができないことを併せて説明する。

前記を総合すると、本件原告の訴えに理由がないので、智慧財産案件審理法第1条、行政訴訟法第218条、第98条第1項前段、民事訴訟法第385条第1項前段に基づき、主文のとおり判決する。

中華民国99年11月25日
知的財産裁判所第二法廷
審判長裁判官 陳忠行
裁 判 官  熊誦梅
裁 判 官  曾啓謀

五 関連条文抜粋
行政程序(手続)法第6条:
行政行為に正当な理由なくして、差別待遇を与えることができない。

商標法第23条第1項第2号:
商標が次に掲げる情況の一に該当するときは、登録を受けることができない。
商品又は役務の形状、品質、効能又はその他説明的なもの
TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor