「一字違いは問題なし」、韓国企業が知的財産局に勝訴

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 「一字違いは問題なし」、韓国企業が知的財産局に勝訴

■ ハイライト
一字違いの商標でも問題なし!著名なサーチエンジン「Google」が韓国の喜來健股份有限公司(Ceragem Co.,Ltd.、以下「喜來健」)の「Goodle」商標登録に同意した。元来、喜來健は知的財産局より拒絶査定を受けたため、行政訴訟を提起していた。このたび知的財産裁判所は知的財産局に対して原処分の取消を命じる判決を下した。
判決書によると、喜來健は血圧計、紫外線ランプ治療器等の医療用及び非医療用物理療法機器を生産しており、2008年に経済部知的財産局に対して「Goodle」商標登録を出願し、血圧計、物理療法機器、マッサージ機等の医療用商品・役務での使用を指定した。しかし知的財産局は著名なサーチエンジン「Google」の商標と文字の構成が類似していると認定し、商標法第23条の規定に基づいて拒絶査定を行った。
喜來健はこれを不服として行政訴願を提起したが棄却されたため、知的財産裁判所に行政訴訟を提起し、勝訴の判決が下された。(自由時報2011年1月6日A9版)

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】99,行商訴,163
【裁判期日】2010年12月23日
【裁判事由】商標登録

原   告 韓商‧喜來健股份有限公司(Ceragem Co.,Ltd.)
被   告 経済部知的財産局

上記当事者間での商標登録事件をめぐり、原告は経済部2010年6月24日経訴字第09906058620号訴願決定を不服として行政訴訟を提起していた。当裁判所は以下のように判決を下すものである。

主 文
訴願決定及び原処分をいずれも取り消す。
被告は第097053077号「Goodle」商標登録出願について、本判決の法的見解に基づき別途査定しなければならない。
原告のその他の訴えは棄却する。
訴訟費用は原告が二分の一を負担し、その他を被告が負担するものとする。

一 事実要約
原告は2008年11月18日被告に対して「Goodle」商標登録を出願し、商標法施行細則第13条で定められた改正前の商品及び役務の区分表第10類の「血圧計、物理治療器具、マッサージ器、紫外線ランプ治療器、赤外線ランプ治療器、超音波治療機械器具、医療用ベッド、腹部用ベルト、医療用電動ベルト、脊椎矯正器、針灸器具、医療用電気毛布、医療用電動脊柱指圧療法装置、医療用クッション、医療用電熱パッド、医療用電熱クッション、医療用電熱ベッド、医療用電気治療器具、温風治療器具、医療用温風振動マッサージ器、医療用リハビリ器具、家庭用電動マッサージ器」及び第11類の「家庭用浄水器、腰湯用浴槽、電気加熱装置、瞬間湯沸かし器、空気殺菌装置、空気濾過設備、空氣脱臭装置、赤外線ランプ、電動式足温マフ、足温器、非医療用電気毛布、非医療用電熱クッション(座布団)、非医療用電熱ベッドパッド、非医療用電熱パッド、非医療用布団乾燥機」の商品での使用を指定した。被告は審査の結果、本件商標(係争商標)は引用商標である註冊(登録)第126062号「Google」の著名商標に類似しているため、該商標の識別性と信用・名声を損なう虞があるため、許可すべきではないと認定し、2010年1月26日に商標核駁第320514号査定書を以て拒絶査定の処分に付した。原告はこれを不服として行政訴訟を提起したものの、経済部は2010年6月24日に経訴字第09906058620号訴願決定書を以て棄却した。原告はさらにこれを不服として、当裁判所(知的財産裁判所)に行政訴訟を提起していた。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の主張:
原処分及び訴願決定をいずれも取り消す。
被告に係争出願案件に対する特許査定を命じる。
(二)被告の主張:
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用を原告が負担する。

三 本件の争点
商標におけるアルファベットの種類や大文字と小文字等の微細な違いは、時間と場所を異にして隔離的に観察したり、取引において(商標のアルファベットを)一続きにつなげて呼んだりした場合、類似を構成するか否か。商標法第23条第1項第12号但書の有無について、法廷の弁論終了時の法律及び事実の状況を以て判断の基礎とすべきか否か。
(一)原告の主張の理由:省略。判決理由を参照。
(二)被告の答弁の理由:省略。判決理由を参照。

四 判決理由の要約
(一) 義務付けの訴えに関する司法審査の対象は、行政機関の作成すべき行政処分又は某特定内容の行政処分についての人民による請求に理由があるか否かであり、つまり裁判所は法廷裁判において原告の請求権が成立するか否か、行政機関に行為義務があるか否かの争議について、法律上の判断を下すべきである。ゆえにその判断の基準となる時点も、原則的に弁論終了時における法律及び事実の状況を以て、判断の基礎とすべきである。
(二) 本件の原告が登録を出願した「Goodle」商標(以下、「係争商標」)の図案は単純なアルファベット「G」、「o」、「o」、「d」、「l」及び「e」を順番に配列して構成したものである。拒絶査定に引用された註冊(登録)第126062号「GOOGLE」商標(以下、「引用商標」)の図案も単純なアルファベット「G」、「O」、「O」、「G」、「L」及び「E」を順番に配列して構成したものである。両者を比べると、アルファベットの「d」と「G」又はアルファベットの大文字と小文字といった僅かな差異があるだけで、時間と場所を異にして隔離的に観察したり、取引において(商標のアルファベットを)一続きにつなげて呼んだりした場合、外観上及び発音上極めて似ており、類似に属する商標である。引用商標「GOOGLE」はサイト間の関連を分析、検索するサーチエンジンの名称であり、先ずはインターネット情報及びサーチエンジンサービスにおいて使用され、その後1998年にグーグル社(Google Inc. )の名称主要部分となっている。1999年からは台湾で註冊(登録)第126062号「GOOGLE」商標権を取得し、それが提供するネット情報検索サービスはすでに広く消費者に知悉、使用されている。国内におけるネットの高い普及率からみて、「GOOGLE」が高い知名度を有する事実は裁判所においてすでに顕著であるため挙証の必要がなく、且つ原告もこれについては争っていない。
次に係争商標の指定商品である医療用ベッド、医療用電動ベルト、医療用電気毛布、医療用電動脊柱指圧療法装置...及び非医療用電気毛布、非医療用電熱クッション(座布団)、非医療用電熱ベッドパッド...等の商品は、引用商標「GOOGLE」の著名なコンピュータ関連サービスとは異なり、両者には関連性がない。係争商標と引用商標「GOOGLE」との類似度を斟酌し、且つ引用商標が持つ高い著名性と識別性等を総合判断した結果、原告は係争商標「Goodle」を医療用器具及び非医療用装置等の商品での使用を指定しているものの、客観的には引用商標が示す単一の出所の特徴や識別性を弱めたり、分散させたりする可能性がないとは依然言い難い。
(三) しかしながら調べたところ、原告は2010年11月23日にグーグル社と係争商標登録に関する協議を達成し、グーグル社は原告に「Goodle」商標を商品区分表第10類及び第11類の商品において使用することに同意したと主張した。これには係争商標の指定商品である医療用機材製品が含まれており、原告はグーグル社との協議書コピー及び中国語翻訳1部を証拠として提出している。被告は協議書の真贋については争っていないものの(本裁判所2010年12月9日弁論議事録第2頁を参照)、該協議書は正本ではない。且つ係争商標が確実に商標法第23条第1項第12号但書の状況に該当する否かは、引用商標権者から出願登録の同意を得たことにより審査の必要があり、さらに被告も本件は引用商標に基づいて登録を許可しないという事由以外に、その他の許可できない理由の有無についても審査する必要があると述べている。つまり、人民の権益を保障するとともに、国家行政権が合法的に行使されることを確保する必要がある。原告が本件の弁論が終了する以前に引用商標権者が登録出願に同意する文書を提出して引用商標と併存できることを主張したことで、本件は裁判期間に事実が変更されており、原処分と訴願決定ではこれが斟酌されておらず、商標法第23條第1項第12号本文を本件係争商標登録拒絶の依拠とする正当性はすでに失われている。ゆえに原告による原処分と訴願決定の取消請求は法に合わないところがないため、当裁判所は原処分と訴願決定を取り消すべきである。しかしながら原告が登録出願する係争商標に対して、原告の主張する協議書のみですぐに特許査定の処分に付すべきか否か、その他の許可できない事由があるか否かについては、被告の再審査による査定を待つ必要がある。そこで行政訴訟法第200条第4号の規定に基づき、被告は本判決の法的見解に基づいて原告に対する処分を作成することを命ずる。即ち、被告に係争商標に対する特許査定を命じるという原告側の請求は全面的に理由があるものではないため、原告の該部分請求は許可し難く、棄却するものである。
(四) 本件の事実証拠はすでに明らかであり、双方のその他の主張又は答弁については判決結果と関わりないため逐一論列する必要がないことを、ここに併せて述べる。

以上の論結に基づき、本件原告の請求は一部に理由があり、一部には理由がない。知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第104条,第200条第4号、民事訴訟法第79条に基づき、主文の如く判決を言い渡すものである。

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