「盛夏的紅宝石」商標に登録許可命令判決

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I 「盛夏的紅宝石」商標に登録許可命令判決

■ ハイライト
大手宅配サービス業者である速達股份有限公司(英語名:President Transnet Corp. 、以下「統一速達」)は「盛夏的紅宝石」(「真夏のルビー」の意)という文字図案を野菜果物の商標として登録するため出願したが、経済部知的財産局は同商標が果物商・張○○の「紅宝石」商標と類似しているとして拒絶査定を行った。その後、統一速達は知的財産裁判所に提訴したところ、裁判官は知的財産局に登録許可を命じる判決を下した。【知的財産裁判所行政判決-99行商訴165-20110602】
統一速達は統一グループ傘下にあり、「黒猫宅急便(クロネコ宅急便)」ブランドを経営している。国内で新鮮な旬の野菜果物を販売するため、地方の政府や農業組合と提携してきた。同社は数年前に台南県政府と提携して「玉井愛文芒果(マンゴー)」を販売したことがある。「盛夏的紅宝石」という文字と1枚の緑葉の図案を組み合わせた商標を、野菜果物での使用を指定して、知的財産局に登録出願した。
しかしながら知的財産局は「盛夏的紅宝石」商標が果物商・張○○の「紅宝石」商標と類似しており、両方とも指定商品が野菜果物であるため、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあると判断し、拒絶査定を行った。そこで統一速達は知的財産裁判所に対して行政訴訟を提起した。
裁判官が調査したところ、張○○の「紅宝石」商標は2000年9月に出願され、特許権の専用期間が2010年9月までであったが、更新登録されていない。このため統一速達に勝訴を言い渡し、知的財産局に対して「盛夏的紅宝石」商標の登録を許可するよう命じた。(2011.06)

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】99,行商訴,165
【裁判期日】2011年6月2日
【裁判事由】商標登録

原      告 統一速達股份有限公司(President Transnet Corp.)
被      告 経済部知的財産局

以上の当事者間での商標登録事件をめぐり、原告は経済部による2010年6月30日経訴字第09906059000号訴願裁決を不服として行政訴訟を提起した。本裁判所は以下のように判決を下すものである。

主 文
訴願裁決及び原処分を取り消すものとする。
被告は原告による係争商標2009年6月24日付出願案件(出願番号98926912号)について登録を許可するものとする。
訴訟費用は被告が負担するものとする。

一 事実要約
原告は2009年6月24日に「盛夏的紅宝石及び図」商標(以下「係争商標」、添付図1の通り)を、商標法施行細則第13条で定められるところの改正前「商品及び役務区分表」第31類「マンゴー、スイカ、トマト、新鮮な野菜」での使用を指定して、被告かつ原処分機関である経済部知的財産局に対し登録を出願した。被告は審査した結果、係争商標の図案が註冊(登録)第906771号「紅宝石及び図」商標(以下「引用商標」、添付図2の通り)と類似しており、さらにいずれもマンゴー、スイカ等の果物を指定商品としているため、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあると判断し、2010年3月23日付で商標核駁(拒絶)第321567号査定書を以って拒絶査定を行った。原告はこれを不服とし行政訴願を提起したが、経済部は2010年6月30日付経訴字第09906059000号訴願裁決を以って棄却した。原告は依然不服として、本裁判所に対して行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一) 原告:訴願裁決及び原処分を取り消すことを請求する。被告は原告の第98926912号「盛夏的紅宝石及び図」商標出願案件に対して許可査定を行うべきである。
(二) 被告:原告の請求を棄却する。

三 本件の争点
(一) 係争商標と引用商標は同一又は類似であるか否か。係争商標には商標法第23条第1 項第13号に定められる登録できない事由があるか否か。
(二) 引用商標が期限内に更新登録を行っていないことにより、本件に事情変更の原則が適用されるか否か。
原告と被告の主張(略)

四 判決理由の要約
(一) 「同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標または先願商標と同一又は類似しており、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがある」商標は登録できないことが、商標法第23条第1項第13号に規定されている。しかしながら「商標が登録される以前、なお登録を準備する手続きにある場合は、登録日に初めて商標専用権を取得するものである。登録出願の商標は、登録手続きが完了するまでに法律又は事実に変更が生じた場合、主務官庁は変更後の法律又は事実に基づいて処理するものとする」という改制前の行政裁判所57年判字第95号判例は参照するに足るものである。
(二) 被告は原処分において、係争商標は引用商標と高度に近似しており、指定商品も高度な類似がみられ、普通の知識経験を有する消費者が購買時に普通の注意を施した場合、出所が同一であるか、又は出所は異なるものの関連があると誤認混同を生じさせるおそれがあると判断して、商標法第23条第1項第13号を適用している。しかしながら調べてところ、前述の原告の出願案件に拒絶査定を出す依拠となった引用商標には、本裁判所が審理を行った時点ですでに商標権期限(2010年9月15日)から6ヵ月(2011年3月15日)を過ぎても更新登録を行っていない等の事情がみられた。経済部知的財産局がすでに提出している商標権資料(本裁判所ファイル87頁参照)はその証拠となり、且つ被告がこれを争わないとしているため、引用商標は商標法第28条、第39条第1号の規定に基づいて、期限までに更新登録を行わったことにより消滅しているといえる。
(三) 従って、引用商標が期限までに更新登録を行わず消滅したことはすでに前述した通りであり、係争商標と引用商標は併存していないため、消費者に誤認混同を生じさせるおそれはない。事情はすでに変更され、原処分及び訴願裁決が引用商標を拒絶査定の依拠とする正当性は失われており、原告からの原処分と訴願決定の取消請求は法に適合しているため、本裁判所は原処分と訴願裁決をいずれも取り消すべきである。又、被告が係争商標の登録を許可しない他の法定事由は存在せず、被告が係争商標出願案件に登録許可を行うよう命令を出すべきだとする原告の請求は法に適合しているため、被告は登録許可を行うべきである。

 

添付図1:係争商標の図案添付図2:引用商標の図案
出願人:統一速達股份有限公司(98.6.24)
商標名:「盛夏的紅宝石及び図」(不専用を未声明)
商品:旧第31類
「マンゴー、スイカ、トマト、新鮮な野菜」
98926912
商標権者:張才原
商標名:註冊(登録)第906771号「紅宝石及び図」(2000.9.16~2010.9.15)
商品:旧第31類
「サクランボウ、パイナップル、バナナ、ミカン、マンゴー、
スイカ、トマト、スターフルーツ、ビワ、リュウガン(龍眼)、
ブンタン(文旦)、イチゴ、パパイヤ、オレンジ、ライチ、柿、
クルミ、レンブ(蓮霧)、ブドウ、リンゴ、梨、レモン、梅、
スモモ、ジャックフルーツ、桃、グレープフルーツ、グアバ、
キウイ、ドラゴンフルーツ」
906771


 
TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor