パン紙袋を他人が服飾の包装に使用して無罪

2014-05-14 2011年

■ 判決分類:商標

I パン紙袋を他人が服飾の包装に使用して無罪

■ ハイライト
フランスで百年の歴史を持つチェーンベーカリー「PAUL」の台湾の代理店は永豊紙業股份有限公司(Yuan Foong Paper Co., Ltd.、以下「永豊公司」)が印刷に失敗したPAULの紙袋を某服飾メーカーに提供して特売会に使用し商標権を侵害したため、損害賠償金の支払いを請求した。台北地方裁判所は消費者に混同を生じさせるおそれはないとして、PAULに敗訴を言い渡した。
消費者からPAULに対して、フラッグシップショップの近所で行われている服飾特売会にPAULの紙袋が無料で使用されているという苦情が寄せられた。PAULが調べたところ、印刷会社の問題だったため、永豊公司と服飾業者に対して商標権侵害による損害賠償金60万新台湾ドルの支払いを請求する訴訟を提起した。
永豊公司の主張によれば、印刷業界の一般的な取引習慣に基づいて、特別の約定がなければ瑕疵の印刷物すべてを印刷会社が引き取って処理することになっている。
さらに永豊公司は資源を無駄にしないために、瑕疵の紙袋を無償で服飾メーカーに提供した。ましてや国内では「PAUL」で登録された商標は数百件に上り、消費者は「PAUL」をみてベーカリー「PAUL」を連想しがたい、としていた。
裁判所は審理の結果、原告は服飾特売会でもPAULの入手することができるという消費者からの苦情を証拠として提出しているが、これは単発の苦情のケースにすぎず、さらに服飾業者がPAULの紙袋を使用してもベーカリーと結びつけることはなく、消費者を誤認させるおそれはない、と判断した。【2011-08-05/聯合報/A8面/社会】

II 判決内容の要約

■ 基礎データ

台北地方裁判所民事判決
【裁判番号】100,智,19
【裁判期日】2011年7月29日
【裁判事由】損害賠償

原   告 老子曰実業股份有限公司(Lao Tsu Say Enteprise Ltd.)
被   告 永豊紙業股份有限公司(Yuan Foong Paper Co., Ltd.)
被   告 豊順国際股份有限公司(Forbson International Co., Ltd.)

以上の当事者間での損害賠償請求事件をめぐり、本裁判所は以下のように判決を下すものである。

主 文
原告の訴え及び仮執行宣言の申立を棄却するものとする。
訴訟費用は原告が負担するものとする。

一 事実要約
(一) 訴外人であるフランス籍・フランシス・オルデー(Francis Holder)は中華民国註冊(登録)第00000000号「PAUL」役務標章の標章権者であり、「レストラン、バッフェ形式レストラン等における飲食提供への使用」を指定している。同時に第00000000号「PAUL」登録商標の専用使用権者でもあり、「コーヒー、茶葉、ココア、糖、代用コーヒー、ミューズリー、パン、コンフェクショナリー及びキャンディ、アイスクリーム、アイスバー、クッキー、ケーキ及びサンドイッチ、ハチミツ、シロップ、酵母、発酵パウダー、塩、マスタード、酢、調味品、調味用香料」等の商品での使用を指定している。原告は2007年にブランド代理権を取得して以来、PAUL商標を入れた紙袋及び包装紙の作製を開始した。
(二) 原告は天凱公司に「PAUL」紙袋の作製を委託し、天凱公司は被告・永豊紙業股份有限公司(以下、「永豊公司」)から紙材を購入して印刷した後、さらに取っ手の装着作業と紙袋の糊付け作業を永豊公司に委託した。しかし一部の紙袋はインクが乾いていなかったため脱色するという瑕疵が発生した。被告・豊順国際股份有限公司(以下、「豊順公司」)が開催する服飾特売会には紙袋が必要だったため、被告・永豊公司の湯圭民協理がすぐに前述の瑕疵のある紙袋を被告・豊順公司に無償で提供した。
(三) 原告の主張によると、係争紙袋は当初納品されなかった瑕疵品約8250枚であり、元来委託先、即ち被告・永豊公司に対して廃棄処分を任せていた。被告・永豊公司は国内でも有名な製紙会社でありながら、著作権又は商標権の文字が掲載されている瑕疵印刷物を標準作業手順に従わず、湯圭民協理が廃棄又は破壊すべき係争紙袋を訴外人・朱英彪に渡し、それが責任者を務める被告・豊順公司の服飾特売会の使用に供し、一部の消費者に豊順公司とそれ(原告)が関連企業、賛助、または使用許諾の関係にあるとの誤解を生じさせ、さらには特売会の開催場所が原告の経営するPAUL本店(仁愛路圓環店)からわずか数百メートルの場所で開催されたため、一部の消費者からPAULの店舗に対してアパレル業務も経営しているのかと問合せがあった。係争商標には2種類の出所を標示した可能性が生じ、すでに係争商標の消費者における単一で独特な識別性を低下させ、商標法第62条第1号の状況が構成されている。また、たとえ係争商標の識別性が弱められなかったとしても、特売会現場には大きなPAULの文字が印刷されている係争紙袋があり、その他に消費者が明らかにその営業の出所や主体を認識させる係争商標者以外を示す文字が無かったため、消費者に混同又は誤認を生じさせ、商標法第62条第2号で定められている商標権侵害を構成している。被告等は原告が係争商標から享受すべき権利を共に侵害し、係争商標の識別性を低下させ、消費者の混同と原告の営業上の困難をもたらし、さらには原告の業務上の信用・名声にも損失を与えた。しかしながら、損害額の計算が極めて困難なため、暫定的に60万新台湾ドルという最低請求額とする。このために、商標法第69条が準用する同法第61条第1項及び第63条第3項、並びに民法第28条、第185条の規定に基づき起訴したが、被告はこれを否認した。
(四) 本判決では、係争商標が著名商標であるか否か、被告・豊順公司による係争商標の使用が商標法第62条第1、2号で定める商標権の侵害を構成するか否か、原告の営業上の信用・名声が損なわれたか否か等に関して、原告から具体的に挙証されていないため、原告の訴えには理由がないと認め、棄却するものである。本案件はさらに上訴することができる。

二 両方当事者の請求内容
(一) 原告の主張:(1)被告は連帯で原告に60万新台湾ドル、並びに起訴状副本送達の翌日から支払完了日までの年利5%で計算した利息を支払うものとする。(2)担保の供出を希望するため、仮執行宣言申立に対する許可を請求する。
(二) 被告の主張:(1)原告の訴え及び仮執行宣言の申立を棄却するものとする。(2)不利な判決を受けた場合は、担保の供出を希望するため、仮執行宣言申立に対する許可を請求する。

三 本件の争点
1. 係争商標が著名商標であるか否か。
2. 被告の行為によって係争商標の識別性又は信用・名声に損害を与え、商標法第62条第1号の商標の間接侵害の類型が成立するか否か。被告の行為によって関連する消費者に誤認混同を生じさせ、同条第2号の商標の間接侵害の態様が成立するか否か。
3. 原告の業務上の信用・名声が損なわれたか否か。被告は商標法第69条が準用する同法第61条第1項及び第63条第3項、並びに民法第28条、第185条で規定される共同権利侵害行為責任を負うべきか否か。
(一) 原告の主張の理由:省略。判決理由を参照。
(二) 被告の答弁の理由:省略。判決理由を参照。

四 判決理由の要約
(一) 係争商標が著名商標であるか否か。
1.いわゆる著名商標とは、関連事業や消費者から普遍的に認知されていると客観的な証拠によって認定できるものを指す。著名商標は高い知名度を有し、他人による利用またはコピーに遭いやすく、著名標章の区別する機能が弱まったり、誤認混同が生じるおそれを回避したりするため、著名標章は特別に保護されている。著名商標の認定は、それぞれの状況に応じて以下に示す著名と認定するに足る要素について考慮すべきである。(1)関連事業又は消費者が商標を知悉又は認識する程度。(2)商標を使用してきた期間、範囲及び地域。(3)商標を普及させてきた期間、範囲及び地域。いわゆる商標の普及には、商品又は役務が使用する商標の広告又は宣伝、並びに展示会や展覧会での展示を指す。(4)商標登録、登録出願の期間、範囲及び地域。その使用と認識の程度を反映するに足る必要がある。 (5)商標がその権利執行に成功した記録。特にかつて行政機関又は司法機関から著名だと認定された状況を指す。(6)商標の価値。(7)その他著名商標又は著名標章だと認定するに足る要素。(8)著名商標の判断は、中華民国内で関連事業又は消費者から広く認知されていることを基準とすべきである(司法院釈字第104号解釈を参照)。
2.本件の原告は、単に「Paul、法式麵包」というキーワードを用いてGoogleや台湾のウェブサイトで検索しても712,000件の情報がヒットするため、係争商標はメディアとネットワークの強力な伝播により、すでに我が国の関連業者と消費者に広く熟知されているといえる程度に達しており、著名商標を構成している云々と主張している。中華民国商標登録証とGoogle検索ページを印刷した資料を証拠として提出しているが、当該資料からはPAUL法式麵包店を知っている一部の消費者がGoogle上で当該ベーカリーの関連資料を検索したことは判るが、どれだけの消費者が当該商標を知悉しているかについては論断しがたい。「PAUL」、「Paul」の商標登録は数百件に上り、各業界で使用されている状況からみて、原告が否認していない経済部知的財産局の商標資料検索サービスの図案文字検索を参照することができ、係争商標が飲食サービス、コンフェクショナリー等の商品領域で認識されている程度は明らかに限られている。また知的財産局の著名商標リスト及び案件評価分析、著名商標案件整理表をみると、係争商標は著名商標ではなく、原告から更なる挙証が必要となる。しかしながら、原告はその他の証拠を提出しておらず、前出の判断基準に基づき、原告による係争商標が著名商標だとする主張は根拠があるとは認めがたく、採用することができない。
(二) 被告の行為によって係争商標の識別性又は信用・名声が損なわれ、商標法第62条第1号の商標の間接侵害の類型が成立するか否か。被告の行為によって関連する消費者に誤認混同を生じさせ、同条第2号の商標の間接侵害の態様が成立するか否か。
1.「商標権者の同意を得ず、次に掲げる事情の一に該当するものは、商標権を侵害するものとみなす。一.他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら同一又は類似の商標を使用し、又は当該著名商標にある文字を自らの会社名、商号名、ドメイン名又はその他の営業主体を表彰し、又は出所の標識として、著名商標の識別性又は信用・名声が損なわれた場合。二.他人の著名な登録商標であることを明らかに知りながら、当該商標にある文字を自らの会社名、商号名、ドメイン名又はその他の営業主体を表彰し、又は出所の標識として、商品又は役務に関連する消費者に誤認混同を生じさせた場合」と商標法第62条第1、2号に明記されている。当該条文の立法理由に基づき、前規定が定めるところの「著名商標の識別性又は信用・名声が損なわれた場合」、「商品又は役務に関連する消費者に誤認混同を生じさせた場合」はいずれも実際に発生した損害の結果(最高裁判所97年度台上字第1619号判決要旨を参照)又は消費者の誤認混同の結果があって該当するに足り、損害のおそれや誤認混同のおそれだけでは前規定を適用できない。
2.又、著名商標又は標章の識別性が損なわれるおそれがある場合とは、第三者が著名商標権者又は標章権者の同意を得ずに、無断で著名商標又は標章と同一又は類似の標識を使用したことによって、著名商標又は標章がそなえている高度に示される単一性又は特定の商品又は役務の出所の特徴や印象が弱められ、当該著名商標又は標章が二種類以上の出所を指すようになり、著名商標又は標章の識別性を希釈又は弱化させる可能性があるものを指す。調べたところ、被告・豊順公司は被告・永豊公司が係争紙袋を服飾特売会の包装として使用するために渡したことを否認していないが、原告が提出した被告・豊順公司の服飾特売会現場写真をみると、段ボール箱に「品名:平版(PAUL)袋97」が貼付されていた他に、現場には顕著で注意を惹き、営業主体又は出所を連想させるに足る標識「PAUL」というその他の標示は無かった。原告が提出した係争紙袋の外観をみると、単に「PAUL」「MAISON DE QUALITE FONDEE EN 1889」等文字が標示されているだけで、「PAUL」というブランドを熟知せず、フランス語に習熟していない消費者にとって原告が代理する「PAUL」ブランドを連想することは難しい。状況を参酌しても豊順公司が特売会の営業主体を「PAUL」だと表彰したとは認めがたく、又、原告が代理する「PAUL」ブランド又は係争商標の識別性が弱められた可能性も認めがたい。況してや豊順公司が係争紙袋を使用した行為によって、係争商標の高度に示される単一性又は特定の商品又は役務の出所の特徴や印象が弱められ、係争商標の識別性に損害をもたらしたという結果に至ったと証明する証拠を、原告は提出していない。前述の説明により、商標法第62条第1号に該当する状況があったとは認めがたい。
3.さらに、いわゆる誤認混同のおそれとは、商標又は標章が関連する消費者に、それが表彰する商品又は役務の性質、出所、提供主体に対して誤認混同を生じさせるおそれを指す(最高行政裁判所98年度判字第455号判決を参照)。又、誤認混同のおそれの有無を判断する場合に、総合的に以下の要因を参酌しなければならない。1.商標の識別性の強弱、2.商標の類似の有無とその類似の程度、3.商品又は役務に関する類似の有無とその類似の程度、4.先権利者の多角経営の状況、5.実際に誤認混同した状況、6.関連する消費者の各商標に対する熟知度、7.係争商標の出願人における善意の有無、8.販売方式と販売場所。調べたところ、(1)原告はたとえ係争商標が著名商標でないとしても、被告・豊順公司が係争紙袋を特売会の服飾を包装するのに使用し、消費者にその営業主体又は商品の出所が係争商標権者と関連企業、賛助又は使用許諾の関係にあると誤認させる云々と主張している。しかしながら、「PAUL」、「Paul」を図案とする登録商標は四百件余りあり、経済部知的財産局に出願された商標については、被告が提出した商標整理表及び商標検索資料が証拠となり、多くの人が「PAUL」、「Paul」を商標の一部として使用するよう登録していることが記録されており、「PAUL」、「Paul」商標の識別性は欠落しているおそれがある。又、被告・豊順公司が販売する服飾品は係争商標の指定商品とは同一の領域に属さないため、客觀的に関連の消費者に被告・豊順公司が販売する服飾品は係争商標が使用されるパン、クッキー等の商品と同じ出所のシリーズ商品だと誤認させたり、双方の間に関連企業、使用許諾関係、加盟関係又はその他の類似する関係にあると誤認させたりして、誤認混同を生じさせるおそれはない。係争紙袋の使用によって商品又は役務に関連する消費者に誤認混同させた結果については、原告が立証しておらず、前述した通り、被告・豊順公司が係争紙袋を使用した行為が商標法第62条第2号でいう商標権侵害の行為であるとは認めがたい。(2)原告はさらに、消費者から服飾業界に進出したのかとの問い合わせがあり、すでに誤認混同の状況が発生しており、知的財産局の「誤認混同のおそれ」の審査基準における要因6項目の相互関係を参酌する6.1「すでに実際に誤認混同の状況が発生し、具体的な証拠がある場合、その他の要因の関連証拠を要求する必要はない」により、両者の商品、役務が類似しているかについては考慮する必要がない云々と主張しているが、原告は1人の消費者が電話で苦情を寄せたことをその証拠として提出するのみで、被告・豊順公司が服飾特売会で係争商標を使用した行為は、消費者がPAUL麵包坊の仁愛圓環店で消費する意欲に若干の影響を与えていない。又、証人・葉巧文による「(問:2010年10月に消費者がなぜ任意に係争紙袋を取得できるのかと苦情を伝えた後、PAUL麵包坊仁愛圓環店の営業は影響を受けたか否か)影響を見出すことは難しいが、消費者の心に影を落としている」という証言は参照するに足るものである。つまり原告が主張する係争紙袋を使用する行為が消費者に誤認混同を生じさせたとの認定には証拠が足りないため、採用することができない。
(三) 原告の業務上の信用・名声が損なわれたか否か。被告は商標法第69条が準用する同法第61条第1項及び第63条第3項、並びに民法第28条、第185条で規定される共同権利侵害行為責任を負うべきか否か。「商標権者はその商標権を侵害した者に対して損害賠償を請求することができ、さらにその侵害排除を請求できる。また侵害のおそれがある場合は、その防止を請求することができ」、「商標権者の業務上の信用・名声が侵害によって損なわれた場合、相当の金額を請求することができる」ことが、商標法第61条第1項及び第63条第3項に明文化されている。「法人はその董事(取締役)又はその他の代表権を有する者が職務を執行して他人に損害を与えた場合、当該行為者と連帯で賠償責任を負うものとする」、「数人が共同で他人の権利を侵害した場合は、連帯で損害賠償責任を負うものとする。そのうち誰が加害者であることを知りえない場合も、又同じである」と民法第28条と第185条第1項において明らかに定められている。商標権者が侵害により業務上の信用・名声が下がったという損害を受けた場合、業務上の信用・名声が受けた損失の事実、さらにはその損害と行為者の商標専用使用権侵害行為との間には大きな因果関係があることについて、挙証しなければならない。前者は商標専用使用権が侵害される前後における業務上の信用・名声の差額を計算の基礎とする(最高裁判所87年度台上字第2145号判決を參照)。また、著名商標の識別性低下は、商標権者の業務上の信用・名声を損なったか否かとは別の問題である。行為者の行為によって、関連の事業又は消費者に著名商標が持つ品質、信用・名声に対する抑圧又はマイナスの連想等をもたらす等の状況がなければ、当然のことながら商標権者が提供する商品又は役務の業務上の信用・名声が損なわれるという結果はもたらされない。原告はその業務上の信用・名声が損なわれたと主張し、被告に60万新台湾ドルの連帯損害賠償を請求しているが、被告・永豊公司が係争紙袋を被告・豊順公司が使用するために提供したことで一体どのように原告ののれん又は業務上の信用・名声が損なわれたのか、原告のれんが損なわれたのは、被告・豊順公司が係争商標「PAUL」を服飾特売会の包装に使用したためである(因果関係)等の構成要件事実については、証人・葉巧文がある消費者から苦情があったと証言する内容を証拠としているだけで、これは単発の苦情のケースにすぎず、係争紙袋事件の売上高に対する影響をうかがい知ることは難しい。さらに証人・葉巧文の証言(本裁判所ファイル139頁参照)から、原告ののれん又は業務上の信用・名声が損なわれたか否かは不明である。原告はその他の立証を行っておらず、業務上の信用・名声に対する損失賠償金60万新台湾ドルを主張するのは、法において根拠があるとは認めがたく、自ずと被告に商標侵害の損害賠償責任を連帯で負うべきだと請求することはできない。

係争商標が著名商標であるか否か、被告・豊順公司による係争商標の使用が商標法第62条第1、2号で定める商標権侵害を構成するか否か、原告の営業上の信用・名声が損なわれたのか否か、それらについて原告は挙証して説明していないため、商標権侵害ではないといえる。したがって、原告が、商標法第69条が準用する同法第61条第1項及び第63条第3項、並びに民法第28条、第185条の規定に基づいて、被告に対して連帯で60万新台湾ドル、並びに起訴状副本送達の翌日から支払完了日までの年利5%で計算した利息を支払うよう請求することには理由がなく、棄却されるべきだ。それに伴い、仮執行宣言申立も併せて棄却するものとする。

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