商品の出所を表彰する広告キャラクター名とするのでなければ、商標の使用に該当しない

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I 商品の出所を表彰する広告キャラクター名とするのでなければ、商標の使用に該当しない

■ ハイライト
参加人は「花太郎」商標について「日本料理店、レストラン、麺食店舗、飲食店、軽食店、ファーストフードレストラン、セルフサービスレストラン、鍋料理店、カフェ、ホットコールドドリンク店、移動飲食屋台、移動カフェ、軽食屋台、移動食品販売車、点心店、旅館、ホテル」を指定役務とし、登録出願をして、係争商標の登録を受けた。原告は、係争商標が商標法第23条第1項第14号の規定に違反し、異議申立ての根拠とした「花太郎」が先に商品に使用した商標である云々と主張した。しかし、被告と参加人はともに、関連する消費者が認識しているのは「黑松」商標であり、「花太郎」は単に広告の中のキャラクター名に過ぎず、商標の使用に該当しないと抗弁した。
原告による「花太郎」の使用は、商標使用の要件に該当しないばかりか、参加人が特定関係により異議申立ての根拠とした「花太郎」を知ったわけでもないので、係争商標の出願は、商標法第23条第1項第14号所定の登録を受けられない事由に該当しない。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】101年度行商訴字第10号
【裁判期日】2012年05月31日
【裁判事由】商標の異議申立て

原告 黑松股份有限公司
被告 経済部知的財産局
参加人 洪震福

前記当事者間における商標の異議申立て事件につき、原告は経済部による2011年11月29日経訴字第10006106350号訴願決定を不服とし、行政訴訟を提起した。本裁判所は職権で参加人に対して被告の訴訟に独立参加することを命じ、次のとおり判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
参加人である洪震福は2009年10月15日に「花太郎」商標(以下係争商標という)について商標法施行細則第13条所定の改正前商品及び役務区分表第43類の「日本料理店、レストラン、麺食店舗、飲食店、軽食店、ファーストフードレストラン、セルフサービスレストラン、鍋料理店、カフェ、ホットコールドドリンク店、移動飲食屋台、移動カフェ、軽食屋台、移動食品販売車、点心店、旅館、ホテル」を指定役務とし、被告である知的財産局に登録出願し、同局の審査を経て、第1417982号商標登録を受けた。これについて、原告が当該登録商標が商標法第23条第1項第14号の規定に違反するとして、異議申し立てをしたが、被告である知的財産局は審査した結果、2011年7月22日中台異字第990721号商標異議決定書をもって、異議不成立の処分を下した。これを原告が不服とし、訴願を提起したところ、経済部による2011年11月29日経訴字第10006106350号決定によって、訴願が棄却された。原告は前記の訴願決定を不服とし、本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:(1)原処分及び訴願決定を共に取消す。(2)被告は異議申立て成立の決定を下すべきである。
(二)被告の請求:原告の訴えを棄却する。

三 本件の争点
原告が、異議申立ての根拠とした「花太郎」を使用したことは、商標使用の要件に該当するか否か。係争商標には商標法第23条第1項第14号所定の商標登録取消事由があるか否か。
(一)原告請求の理由:略。判決理由の説明参照。
(二)被告答弁の理由:略。判決理由の説明参照。

四 判決理由の要約
(一)原告による「花太郎」の使用は、商標使用の要件に該当するか否か
1.原告商品の商標は黒松である。調べた結果、原告が商標異議申立て及び訴願等行政救済手続きにおいて提出した原告のウェブページ資料は、「黑松」商標の各商品を紹介及び販売するための広告資料であり、「花太郎」商品の商標使用に該当しないので、その提出した広告支出も、「花太郎」商標の商品(例えば:花太郎花茶緑茶、烏龍茶)を販促するための費用ではない。
2.花太郎は原告による商品広告のキャラクター名である。「花太郎」は原告による商品を宣伝するためのシリーズ広告の中のバーチャルな「元相撲選手」キャラクター名であり、且つ「花太郎」キャラクターの活発な動態又は静態の広告コピーで、その茶花緑茶ドリンクを販促した。関連する消費者は、「花太郎」が単に商品の広告キャラクター名称であって、当該茶花緑茶商品の出所を表彰する標識であるとは認識していない。
3.花太郎は原告による商品の名称又は表示ではない。原告がテレビ広告に「花太郎」を使用した部分はその中のほんの一部を占めているだけなので、関連する消費者は広告から「花太郎」が原告による商品と関わりがあると認識又は意識することができない。原告は広告に「花太郎」を使用したが、それと組合わせて実写の「花太郎」キャラクターや文言と併せて使用し、単独で使用したのではない。よって、原告の広告コピーから、「花太郎」の独立した識別力を知ることができず、ましてや原告による商品は、「花太郎」を商品の名称又は表示としたものではない。
4.最後に、広告の主人公名称は、もとより商標とすることができないわけではないが、広告の主人公名称だけをもって、商標の使用に該当すると認定することはできない。当該主人公名称が商標の使用に該当するか否かについては、なお個別案件により提出された使用証拠に基づき、当該主人公名称の使用態様が、関連する消費者に商標であると認識するに足りるか否かを判断しなければならない。「花太郎」は原告により創造、使用されたものではなく、また原告は「花太郎」の商標登録出願をしていないばかりか、出願中でもない。それ故、原告が提出した「花太郎」キャラクター名を広告に使用した各証拠資料を参照しても、客観的に関連する消費者に「商標」であると認定させるには足りないので、商標の使用に該当しない。

(二)係争商標の公告時の商標法第23条第1項第14号所定の商標登録取消事由があるか否かについては、原告が「花太郎」を商標として使用していないので、公告時の商標法第23条第1項第14号を適用しないことはいうまでもない。
前記をまとめると、係争商標と異議申立ての根拠とした「花太郎」は高度に類似しているほか、参加人と原告との指定商品又は指定役務も類似しているが、原告が「花太郎」を使用したことは商標使用の要件に該当しないばかりか、参加人も特定関係で異議申立ての根拠とした「花太郎」を知ることができたわけではなく、係争商標の出願は商標法第23条第1項第14号所定の登録を受けられない事由に該当しない。よって、原処分による異議不成立の決定は法によっても誤りがないので、維持するとした訴願の決定も法に一致する。

以上を総じると、本件原告による訴えには理由がなく、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第98条第1項前段により、主文の通り判決する。

2012年5月31日
知的財産裁判所第一法廷
審判長裁判官 李得灶
裁判官 蔡恵如
裁判官 何君豪
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