牛排館(ステーキレストラン)が「重量級」と自称 裁判官:識別性なし

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I 牛排館(ステーキレストラン)が「重量級」と自称 裁判官:識別性なし

■ ハイライト
 新北市中和区にある「重量級牛排館」のオーナーである李陳梅桂は、「重量級及び図」として商標を登録しているが、先日美樂多股份有限公司「史堤克重量級牛排館」の店名が、「重量級」を使用していることを発見したので、二度と使用せず、且つ150万台湾ドルを賠償するよう先方に要求した。知的裁判所裁判官は、重量級という言葉に識別性はなく、誤認混同の虞れがないとして、李陳梅桂の敗訴判決を言い渡した。ただし本案はまだ上訴することができる。
 裁判官による審理の結果、李陳梅桂の商標性質は単なる「叙述性のマーク」であり、先天的識別性がなく、且つ両商標は外観、観念のいずれも極めて異なっているので、消費者に誤認混同を生じさせるおそれが絶対にないとのことであった。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】101年度民商訴字第4号
【裁判期日】2012年6月7日
【裁判事由】商標権侵害に関する財産権争議等

原告 李陳梅桂即ち重量級牛排館
被告 美樂多股份有限公司

上記当事者間における商標権侵害に関する財産権争議等事件につき、2012年5月31日に口頭弁論を終結し、本裁判所より以下のように判決を下す。:

主文
原告の訴え及びその仮執行の申立てを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は登録第00135012号「重量級及び図」商標の商標権者であり、「重量級牛排館」としてレストランを経営している。ところが、原告は先日インターネットで「重量級牛排」等文字を検索したところ、被告美樂多股份有限公司(以下、美樂多公司という)の加盟店(「史堤克重量級牛排館」汐止店、八德店、中壢店を含む)等の広告看板、文字宣伝及びその他の販売資料が、明らかに係争商標「重量級」文字を使用し、消費者に誤認混同を生じさせているのを発見した。2011年6月15日に原告は書簡で侵害行為の中止を被告に請求したが、被告から返答書簡により拒否され、被告は既に原告の係争商標権を侵害している。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の声明:(1)被告は「重量級」等文字使用を付図(即ち本判決の付図二)に示す通りの商標に使用してはならない。(2)被告は150万台湾ドル及び起訴状の副本が送達された翌日から弁済日まで年5%で計算した利息を原告に支払わなければならない。(3)第二項の請求について原告は担保を供託して、仮執行の宣言を請求する。(4)訴訟費用は被告の負担とする。
(二)被告の声明:(1)原告の訴えを棄却する。(2)訴訟費用は原告の負担とする。

三 本件の争点
(一)「重量級」文字には識別性があるか否か?
(二)被告が「史堤克先生重量級牛排Mr.Steak及び図」を以って役務を提供していることは、消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるか否か?
(三)原告が商標法第61条第1項の規定により損害賠償及び侵害排除を被告に請求することには、根拠があるか否か?

四 判決理由の要約
(一)係争商標の「重量級」には識別性がないので、係争商標の主な識別部分ではない。:
「重量級」は明らかに原告が独自で創作したものではなく、「独創性のマーク」ではない。また原告はステーキ専門レストラン等商品または役務に使用し、その指定している商品または役務自体の品質、機能、特性と全然関係ないとは言えないので、「任意性のマーク」ではない。またもし競爭同業者がその商品または役務特徴が大量または高品質のものであると説明しようとする時、当該マークを使用する可能性が極めて高く、且つ消費者は当該マークの意義及びその示している商品または役務について、再び想像、思考または推理する必要がなく、容易く当該「重量級」と商品または役務との間の関連性を理解するので、当該マークは「暗示性のマーク」ではない。原告による当該マークの使用は、明らかにその販売しているステーキの量が極めて多いことを説明しているが、その性質はただ「叙述性のマーク」にすぎないので、当該マークには先天的識別性がない。原告は「重量級」が後天的識別性を取得したことを立証しなかった。従って、「重量級」には識別性がなく、係争商標の主な識別部分ではないと認定できる。更に被告が付図二の商標登録を出願した時、その中の「重量級牛排」が専用ではないことは、付図二の商標登録証がファイルにあり、参考にできる(本裁判所ファイル第66頁)。これによっても「重量級」には識別性がないと証明できる。

(二)被告には原告の商標を侵害した事情がない。:
1.被告商標は係争商標と異なっており、類似も構成しない。調べたところ、原告が登録した商標は「重量級」及び図であり(付図一の通り)、また前記の通り、「重量級」文字は係争商標の主な識別部分ではないので、係争商標の「重量級」文字の識別機能は明らかに顕著なものではない。被告の商標が係争商標と類似を構成するか否かを判断するには、当然商標の全体で観察しなければならず、任意に係争商標の「重量級」文字を切りとって被告商標の「重量級牛排」文字と比較してはならないので、原告が被告商標が「重量級」文字を使用したため、係争商標と完全に同一であると主張したことは、明らかに信用できない。被告の商標は「史提克先生重量級牛排」、「Mr.Steak」であり、及びリング内に星があり、ストライプの図案も全く異なっており、両者は外観、呼称においても、極めて異なっており、被告商標と係争商標を、全体的イメージについて隔離的に観察すれば、類似を構成しないと認定しなければならない。
2.関連消費者に誤認混同を生じさせるおそれがない。:前記の通り、両商標は全く異なっているので、消費者に誤認混同を生じさせる可能性があると認定できない。被告が経営している牛排館と原告が経営している牛排館は、両者の運営方式、訴求する飲食スタイル、製品位置付け及び消費傾向が全く異なっており、その製品、価格、役務には明らかなマーケットセグメントがあるので、関連消費者に誤認混同を生じさせる可能性も絶対にない。

前記を総合すると、「重量級」には識別性がなく、係争商標は被告商標と同一ではなく、類似も構成せず、関連消費者に誤認混同を生じさせるおそれがないので、被告は係争商標権の侵害を構成しない。

以上をまとめると、本件原告の訴えには理由がないので、知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第78条に基づき、主文の通り判決する。

2012年6月7日
知的財産裁判所第三廷
裁判官 蔡如琪
付図一:係争商標(登録第00135012号)
出願日:1999年11月30日(権利期間:2000.12.16-2020.12.15)
商標権者:李陳梅桂
商品または役務名稱:第42類「ステーキ専門レストラン、レストラン、飲食店、軽食店、ホットコールドドリンク店、喫茶店」商品
20120607
付図二:被告商標(登録第01489626号)
出願日:2010年11月19日(権利期間:2011.12.1-2021.11.30)
商標権者:美樂多股份有限公司
商品または役務名称:第43類「ステーキハウス、ホットコールドドリンク店、飲食店、軽食店、果実氷菓店、茶芸館、鍋料理店、喫茶店、カフェ、ビール店、バー、ホテル、ファーストフード、セルフサービスレストラン、カクテルパーティ開催、宴席開催、レストラン予約代行、点心店、ケータリングサービス、移動カフェ、移動飲食屋台、移動食品販売車、軽食屋台、泡立てミルクティー、レストラン、学生食堂、朝食店、ハンバーガー店、牛肉めん店、日本料理店、焼肉屋、しゃぶしゃぶ、居酒屋、精進料理店、飲食サービス提供」商品
 
2012060701

 

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