海信グループが海を越えて商標争奪 台湾企業の手には僅かに残ったのみ

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I 海信グループが海を越えて商標争奪 台湾企業の手には僅かに残ったのみ

■ ハイライト
 大陸企業が先を争って台湾商標を登録する動きが、ますます活発になっている。台湾のHisense商標はリモコン等7項目での使用に登録されていたが、大陸の海信グループから登録取消審判を請求された結果、百荷公司の林前代表は録画再生機器等6項目商品の商標権を失うことになった。台湾企業による商標権の維持は、慎重に行わなければならない。
 台湾及び中国大陸企業間の商標権争奪戦は白熱化の一途で、大陸の海信グループ(Hisense Group)が台湾Hisense商標に関して、海を越え台湾で商標権訴訟を起こし、百荷公司(既に会社登記抹消)の林前代表が登録していたHisense商標に対し訴訟を提起した。
 林代表が2000年12月に登録したHisense商標は、その内、リモコン商品に使用を指定した部分について、商標法規定の3年以内に商業行為に使用した以外、他の録画再生機器、テレビ、音響拡声器、デジタル映像ディスク機器、音響スピーカー、録音機等6項目の商品では規定期間内に使用しなかったので、海信グループからの商標権登録取消審判請求を経て、経済部知的財産局により取消が審決された。
 海信グループ(Hisense Group)は1969年中国大陸青島で創立。当初の従業員は10人あまりであったが、2007年海信の売上高は469億人民元(2,220億新台ドル)に達し、事業も大変多角化しているが、それでも今もってIT製品の子会社である海信電器を事業の主力としている。
 2009年5月、海信グループは当該「Hisense」商標について、既に3年以上未使用であることを理由に、台湾商標法規定に基づいて商標権を取消さなければならないと主張した。その後2010年6月に知的財産局により審決が下され、その結果、Hisense商標の録画再生機等6項目商品に使用指定していた登録については取消に同意するが、リモコンに使用していた部分については、林代表が千電デジタル科技公司と取引をしようとしていた事実があるので、「請求不成立」との審決した。
 海信グループはこの部分について行政訴訟を提起したが、裁判所の判決により棄却された(2012-06-13/工商時報/A13版)。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判字号】101年度行商訴字第3号
【裁判期日】2012年5月23日
【裁判事由】商標取消

原告 中国大陸.海信グループ有限公司
被告 経済部知的財産局

上記当事者間における商標取消事件について、原告が経済部中華民国100年11月9日経訴字第10006105760号訴願決定を不服として行政訴訟を提起し、本裁判所が参加人に被告の訴訟に独立参加するよう命じた。本裁判所は以下のように判決する。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
参加人林敬祥は2000年12月21日「Hisense」商標を、当時の商標法施行細則第49条所定の商品及び役務分類表第9類の録画再生機器、テレビ、音響拡声器、デジタル映像ディスク機器、音響スピーカー、録音機、リモコン商品において使用指定して被告に登録を出願し、審査を経て第987570号商標の登録(以下、係争商標という)を許可された。その後原告が係争商標には商標法第57条第1項第2号規定違反があるとして2009年5月12日に取消審判を請求し、被告が審理を経て2011年6月20日に中台廃字第L00980080号商標取消処分書を以って「第00987570号『Hisense』商標を録画再生機器、テレビ、音響拡声器、デジタル映像ディスク機器、音響スピーカー、録音機商品に使用指定していた登録を取消さなければならないが、リモコン商品に使用指定していた登録については、請求不成立」との処分を下した。原告は「リモコン商品に使用指定していた登録について、請求不成立」となった部分を不服とし、訴願を提起したが、経済部2011年11月9日付経訴字第10006105760号決定により棄却されたので、本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の声明:1.訴願決定及び原処分の「登録第987570号『Hisense』商標の『リモコン』商品に於ける使用指定の登録に関して、取消請求不成立」とした部分を取消す。2.第987570号「Hisense」商標の「リモコン」商品に於ける使用指定の部分について、被告は登録取消の処分をしなければならない。3.訴訟費用は被告の負担とする。
(二)被告の声明:1.原告の訴えを棄却する。2.訴訟費用は原告の負担とする。

三 本件の争点
原告が2009年5月12日に取消審判請求するまでの3年以内に、参加人が「リモコン」商品について確かに係争商標を使用した事実があったか。

四 判決理由の要約
(一)原告は、参加人は自分が「Hisense」リモコンを製造し千電公司に販売した事実を証明できないと主張したが、調べたところ、参加人が提出した東明電子材料行発行の統一発票使用免除の領収書2枚によると、2008年4月16日及び2008年5月23日に確かに東明電子材料行から「Hisenseリモコン」の電子材料を購入しており(原処分ファイル第217、218頁参照)、また東明電子材料行の責任者が「林照碧」で、その営業地点が「高雄市○○区○○○路545号」であることは、商業登記基本資料がファイルにあるので証明されている(原処分ファイル第157頁参照)。上記領収証の「納品及び集金済み」欄及び記載内容はともに一致しており、更に、参加人が提出した注文書はいずれも百荷公司であるが(参加人が代表者)の名義となっているが(原処分ファイル第214至216頁)、百荷公司は既に2006年6月13日に解散登記が許可されている。このことは公司登記検索資料一部がファイルに添付されているの参照できる(原処分ファイル第119頁)。よって、領収書の購入者が参加人であることも、取引における常態である。

(二)また、上記領収書正本がいずれも変色したりそれぞれ汚れがあることを見ても(原処分ファイル第217、218頁)、それらは訴訟に際して捏造されたものではないので、原告の主張も採用することができない。

2012年5月23日
知的財産権裁判所第一法廷
審判長裁判官 李得灶
裁判官 汪漢卿
裁判官 林欣蓉
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