「Monolithic Power Systems」に識別性なし 米国企業モノリシックが商標訴訟で敗訴

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I 「Monolithic Power Systems」に識別性なし 米国企業モノリシックが商標訴訟で敗訴

■ ハイライト
 全世界で著名なアナログ半導体米国企業モノリシックパワーシステム社は、会社の英文名称「Monolithic Power Systems.Inc」のMonolithic Power Systemsを商標として、台湾経済部知的財産局に商標登録を出願して、訴訟を起こしたが、知的財産裁判所の判決により、敗訴判決を受けた。
 2010年7月頃にモノリシック社は、「Monolithic Power Systems」商標を、集積回路等約20種の商品に指定使用し、知財局に商標登録を出願したが、知財局はこの商標が商標法規定と一致しないとして、査定で許可しなかった。その為にモノリシック社と知財局の訴訟が裁判所で行われていたとのことである。
 知的裁判所の判決では、モノリシック社はMonolithic Power Systemsを商標とし、集積回路等製品に指定使用しているが、消費者に与える印象は、IC電力システムと関係があるという叙述用語に過ぎないので、商品の表示、または主体の識別マークとするのは難しく、且つこの商標を他人の商品と比較しても、識別性はないはずである。
 モノリシック社は、同社のこの商標が、英語を母語とする米国でも、既に登録許可されており、且つ以前知財局で許可された第1236228号等3つの商標は、モノリシック社が出願した商標の状況と類似しているのに、なぜ知財局は同社の英文字組合せによる商標出願を許可しなかったか?という疑問を提出した。
 また知的裁判所の話によれば、各国の商標登録に関する立法例は、それぞれ異なっており、且つ各国の商標に識別性があるか否かについての判断は、その産業発展の状況、国民消費の慣習、教育普及の程度、更に各類文字の熟知程度によってそれぞれ異なっているとのことである。
 また、知的裁判所は、同一商標についてある国に登録すれば、必ず他国においても登録できるとは限らないと述べた。
 また所謂「商標法規及び制度の国際化」とは、商標登録保護等の制度性の規範をいい、商標法制の保護を受ける規定のとおり、商標が識別性を有している必要があることは、台湾とモノリシック社が挙げた他国の状況と同様である。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】101年度行商訴字第19号
【裁判期日】2012年4月12日
【裁判事由】商標登録

原告 米国企業・モノリシックパワーシステム
被告 経済部知的財産局

上記当事者間における商標登録事件につき、原告は経済部2011年12月14日に経訴字第10006106680号訴願決定を不服として行政訴訟を提起した。本裁判所は以下のように判決を下すものである。:

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
原告は2010年7月2日に「Monolithic Power Systems」商標を、商標法施行細則第13条に定められている商品及び役務区分表第9類の集積回路、電子集積回路、半導体集積回路、半導体、回線多重化装置、ルータ、トランシーバー、レシーバー、信号変換装置、……電気通信の交換器、コンピュータのネットワーク交換器、デジタル信号処理器、コンバーター、交流/直流のコンバーター、電池充電器、直流入力変換器、直流/交流反相器、回路電力変換及び管理用集積回路等商品に指定使用し、被告に登録を出願し、且つ図案の「Power Systems」は専用ではないと声明し、なお2011年1月21日に前記商品の「トランシーバー」、「コンバーター」をそれぞれ「信号トランシーバー」、「電力変換器」に訂正した。しかし被告が審査した結果、図案の「Power Systems」は商標法第19条の不専用声明の規定と一致しないと認定し、2011年6月10日に商標第331139号拒絶査定書を以って拒絶処分とした。原告はこれを不服として、訴願を提起したが、経済部の2011年12月14日経訴字第10006106680号決定により棄却されたため、原告はこれを不服として、本裁判所に行政訴訟提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の主張:1.訴願決定及び原処分をすべて取消す。2.被告は出願第099031952号「Monolithic Power Systems」商標の登録を許可する処分を下すべきである。
(二)被告の答弁:原告の訴えの棄却を請求する。

三 本件の争点
本件の争点は、係争商標の前記商品における指定使用が、商品または役務を表すマークを関連消費者に認識させることができず、且つこれによって他人の商品または役務と区別できないので、登録出願できないのか否か、また係争商標の使用は取引における原告商品の識別マークになっているか否かである。

四 判決理由の要約
中国語、外国語の単語または言葉を問わず、もし単語または言葉がある業界で慣用され、当該業界においてその特別な意味が形成されている時、当該単語または言葉は一般の社会人々によく知られている普通の意味の外、別途に当該単語を慣用して他の意味を示す特定業界または関連消費者間においては、特別な意味が形成される。従って、関連業者と消費者との間で、各単語の業界間、類別間では特別な意味がよく知られているので、各単語とその他単語との連用時に、各単語の特別な理解により、特別な意味を結合する説明性がある文字を形成しやすい。係争登録商標の指定使用商品または役務区分からみれば、係争登録商標の中国語、外国語「Monolithic」の意味は、一般的意味、即ち「全体的、巨大な」と理解してはならず、アナログ半導体業者または関連消費者間に有る特別な意味、即ち「モノリシック集積回路」または「モノリシッククリスタル」という特別な意味で理解すべきであることは、原告の起訴状に記載されている「更に原告の製品は一般的消費性がある電子商品ではなく、一般的3C売り場または販売通路においては、原告の商品を購入することができず、製品の高度専業性に基づき……」(本裁判所ファイル一第11頁)より分かる。また、「Monolithic」の意味はアナログ半導体業者または関連消費者の間に有る特別な意味により理解すべきであり、「Monolithic」の特別な意味は前記の通りで、その連用する「Power Systems」には電力または電源システムの意味があり、商標として「集積回路、電子集積回路、半導体集積回路、半導体、回線多重化装置、ルータ、トランシーバー、レシーバー、信号変換装置、……電気通信の交換器、コンピュータのネットワーク交換器、デジタル信号処理器、コンバーター、交流/直流のコンバーター、電池充電器、直流入力変換器、直流/交流反相器、回路電力変換及び管理用集積回路等商品」等商品に指定使用したことにより、人に与える目覚しい印象はIC電力システムと関係がある叙述用語にすぎないので、商品または製造主体を表す識別マークとして、且つこれによって他人の商品と区別させることは難しく、識別性がないはずである。

しかし調べたところ、原告が挙げた証拠資料には、係争登録商標の図案が見られるが、単なる橫書きの外国語「Monolithic」、「Power」、「Systems」三語の組合せで形成されるものであり、且つ特別な設計を経ない一般的外国語字体であるので、係争登録商標は、原告会社が製造している商品がIC電力システムと関係があると関連消費者に説明する叙述用語である。つまり係争登録商標が関連消費者間で形成しているものは、当該外国語「Monolithic Power Systems」であるはずであり、原告会社の製品を説明する説明性の文字であり、原告公司が製造している商品であるか否かについて判断するマークではなく、当然関連消費者間において既に後天的識別性があるとは言えない。たとえ原告が同時に「円にRがある」符号を表示することで、商標とする意思を表すと主張しても、ただ主観上、原告には商標として使用する意思があると認定できるのみであり、原告の主観上の意思のみで、客観上、係争登録商標には原告が製造している商品の品質、機能を説明する本質があることを否定してはならない。

商標法の規定は既に国際化しているが、執行面において、国内状況の差異により個別案件の審査にも差異が生じることがあり、係争登録商標は英語を母語とする米国において登録が許可されているからといって、台湾においても登録を許可すべきであると認定してはならない。

以上をまとめると、係争登録商標には商標法第23条第1項第1号に定められている状況があるので、登録を許可することができない。従って、被告の係争商標は登録できないので、拒絶査定は、法により当然違法ではなく、訴願決定で維持されたことにも、間違いはない。原告が前記の理由をもって、原処分及び訴願決定の取消しを訴えで請求したことには、理由がないので、棄却すべきである。

2012年4月12日
知的財産裁判所第二廷
審判長裁判官 陳忠行
裁判官 林洲富
裁判官 熊誦梅
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