ウォーターボトルが権利侵害?甄妮農場は問題なし

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I ウォーターボトルが権利侵害?甄妮農場は問題なし

■ ハイライト
 著名な芸能人である甄妮が数年前に、一億元以上を投じて桃園県龍潭郷に観光農場「西土瓦美楽地」を建設した。しかし、先日農場内で中国業者が製造した「旅行拍襠(トラベル バディ)」ウォーターボトルを陳列していたところ、真正ブランドの飄逸実業公司に発見されて告訴提起された上、ボトル単価の1500倍、即ち30万元を賠償するとともに、謝罪文を新聞に掲載するよう要求された。知的財産裁判所の合議審は、当該ウォーターボトルは景品としてのみ使用していて、販売により利益を得ていたわけではないので商標侵害の故意がない為、飄逸実業敗訴と判決した。しかし、本件はなお上訴することができる。
 一審で知的財産裁判所は既に飄逸敗訴の判決を下したが、上訴後の合議審でも、当該商品の識別度が低く、なお且つウォーターボトルも甄妮又は農場と一切結びつかないものであり、たとえ陳列したり、又は入場料と相殺したとしても、商標侵害の故意又は過失には当たらないとした。ましてや本件の関係で、農場も既に対外開放しないことになり、たとえ侵害があったとしても既に排除されていると言える上、更に農場側も既に2010年に自発的に新聞に謝罪文を掲載していることから、飄逸実業敗訴の判決が下った(自由時報/2012-02-24/A14版)。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】100年度民商上字第14号
【裁判期日】2012年2月2日
【裁判事由】商標権侵害にともなう財産権争議等

上訴人 飄逸実業有限公司
被上訴人 西土瓦美楽地有限公司

上記当事者間における商標権侵害に関する財産権争議事件について、上訴人が2011年7月21日に本裁判所99年度民商訴字第52号第一審判決に対して上訴を提起した。本裁判所は2012年1月12日に口頭弁論を終了し、以下のように判決する。

主文
上訴を棄却する。
第二審の訴訟費用は上訴人の負担とする。

一 事実要約
上訴人は登録第01052547号「Travel Buddy」商標の商標権者であり、「コップ、ティーカップ、ポット、ティーポット、紅茶メーカー、コーヒーサイフォン、茶用ろ過器、保温カップ、茶調製器、コーヒー調製器、茶器、非貴金属製茶器、非貴金属製ティーポット、非貴金属製茶葉缶、非貴金属製カップ、旅行用カップ、シェーカー、非貴金属製茶漉し」等商品に使用指定しており、権利存続期間も2003年8月1日より2013年7月31日までとなっている。被上訴人西土瓦美楽地有限公司(以下、西土瓦公司と称する)は桃園県龍潭郷に観光農場西土瓦農荘を開設し、「Travel Buddy」商標と同一のものを使用したウォーターボトルを販売していた。そこで上訴人は、曾信嘉弁護士に依頼して2010年6月27日に西土瓦農荘にて2百元の価格でウォーターボトルの模倣品を購入した上、被上訴人が上訴人の同意得ずに上訴人商標のある模倣品を販売していることから既に上訴人の商標権を侵害しているとして、民事訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)上訴人の声明:1.被上訴人は連帯で300,000元及び起訴状副本送達の翌日より償還日まで、年利5%で計算した利息を上訴人に支払わなければならない。被上訴人の中の誰か一人が支払った場合、他の者はその支払い金額の範囲内において、支払い義務免除とする。2.被上訴人は連帯で費用を負担し、判決全文を仿宋五号字体で、半面の規格(即ち幅25cm、長さ35cmの規格)で中国時報、聯合報及び自由時報等の全国版(A、B版)第一面の下半面に各一日掲載しなければならない。3.第1項の声明について、上訴人は担保供託による仮執行宣告の許可を申し立てる。
(二)被上訴人の声明:1.上訴の棄却。2.もし不利益な判決を受けた場合、担保供託による仮執行宣言の許可を申し立てる。

三 本件の争点
被上訴人の上記行為には、上訴人の「Travel Buddy」商標侵害があったのか。

四 判決理由の要約
本裁判所の判断は、現行商標法が商標権侵害の損害賠償について明文で規定していないので、侵害者の主観的要件を論じる必要がない状況下では、商標権が侵害を受けたことと、他の権利が侵害を受けた等を同等に見るため、侵害者に故意又は過失がある場合に限り、商標権者が相手に損害賠償責任を負うべきだと請求することができるというものである。

被上訴人は非製造業であり、同類商品の販売会社ではなく、なお且つ当該商品の識別度も高くないので、市場にも代替可能な商品が多数あり、極めて流通しやすい状況であるので、もし当該商品の取引がある全ての人に、一律係争商標侵害の有無を調べなければならないとの注意義務を課すのは厳しすぎ、むしろ商品取引市場の流通の妨げとなる。従って、上訴人が被上訴人には注意義務を果たさなかった過失があると主張したことは、採用することができない。

そして、ウォーターボトルは被上訴人甄妮又は西土瓦農荘とは何の結びつきも生じないので、たとえ被上訴人が陳列したり、又は入園料と費用を相殺するウォーターボトルに「Travel Buddy」の文字があったとしても、係争商標商品を使用した行為について、被上訴人に何らかの係争商標侵害の故意又は過失があったとは認定することが難しい。

ましてや、被上訴人は上訴人の権利侵害に関する通知を受けた後、既に係争商標商品の使用を中止し、西土瓦農場までも既に対外的に開放しないことにした。よって、たとえ侵害があったとしても既に排除されている上、被上訴人が故意又は過失により商標権を侵害して陳列したり、入園料に充てたりしたと証明することもできないので、被上訴人による損害賠償や謝罪文の新聞掲載の請求を許可することは困難である。

2012年2月2日
知的財産裁判所第二法廷
審判長裁判官 陳忠行
裁判官 林洲富
裁判官 熊誦梅
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