スワロフスキー社(施華洛世奇公司)が権利侵害の訴え、施華洛婚紗の商標及びドメインネーム取消しと判決

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I スワロフスキー社(施華洛世奇公司)が権利侵害の訴え、施華洛婚紗の商標及びドメインネーム取消しと判決

■ ハイライト
リヒテンシュタイン企業スワロフスキー社が台湾の施華洛婚紗撮影公司による商標権侵害を提訴し、先日、知的財産裁判所の判決によって、施華洛婚紗撮影公司の敗訴及び同社の登記名称及び商標の取消しが言い渡された。
知的財産裁判所は、施華洛婚紗撮影公司がスワロフスキー社の商標専用権侵害に関わっているため、「施華洛」又は「施華洛世奇」の文字と同一又は近似のものを会社名称の主要部にすることはできないほか、「施華洛」又は「施華洛世奇」と同一又は近似していない名称に変更登記しなければならないと命じた。
判決内容によると、施華洛婚紗撮影公司は「SWAROVSKI」、「SWARO」と同一又は近似のものをドメインネームにしてはならないほか、「http://www.swarov.com.tw」ドメインネーム登記を取消さなければならず、施華洛、施華洛世奇、SWAROVSKI又は白鳥図案の看板、名刺、広告、ウェブページ及びその他販売促進物品への使用もできず、さらに新聞に謝罪広告を掲載しなければならないとなっている。
スワロフスキー社は1987年から、SWAROVSKI及び白鳥の図案を各種の商品に登録出願し、商標権を取得しており、経済部から著名商標と認められている。当該会社は施華洛婚紗撮影公司が2004年10月からスワロフスキー社の商業的名声に便乗して営利し、当該会社の商標権を侵害したほか、公正取引法の規定にも違反していると訴えた。
知的財産裁判所は審理の結果、施華洛婚紗撮影公司とそのドメインネームがスワロフスキー社(施華洛世奇公司)及び白鳥図案の商標侵害に関わったと認め、施華洛婚紗撮影公司はすべての侵害に関わる行為を中止しなければならないとの判決を下した(2012-04-20/工商時報/A21)。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】100年度民商訴字第44号
【裁判期日】2012年4月11日
【裁判事由】商標専用権侵害行為の排除など

原告 リヒテンシュタイン企業スワロフスキー(SWAROVSKI AKTIENGESELLSCHAFT)
被告 施華洛婚紗撮影有限公司

前記当事者の間による商標専用権侵害行為の排除などの事件について、本裁判所は2012年3月21日に口頭弁論が終了したので、以下のとおり判決を下す。

主文
被告は「施華洛」又は「施華洛世奇」の文字と同一又は近似のものを会社名称の主要部に使用してはならず、「施華洛」又は「施華洛世奇」文字と同一又は近似していない名称に商業名称を変更登記しなければならない。
被告は「SWAROVSKI」、「SWARO」の文字と同一又は近似のものをドメインネームの主要部に使用してはならなず、「http://www.swarov.com.tw」というドメインネームの登録を取消さなければならない。
被告は「施華洛」、「施華洛世奇」、「SWAROVSKI」又は白鳥図案と同一又は近似しているものを看板、名刺、広告、ウェブページ及びその他販売促進物品に使用してはならない。
被告は費用を負担して、本件一審判決書の案件番号、当事者、事由及び主文の全文を新細明体 10号の字体で蘋果日報全国版に一日掲載しなければならない。
原告のその他の訴えを棄却する。
訴訟費用は被告が十分の九を負担し、残額を原告の負担とする。

一 事実要約
原告は1987年から「SWAROVSKI」及び白鳥図案を各種商品に登録して、商標権を取得しており、その後も引続き台湾で「SWAROVSKI」、「施華洛世奇」、「SWARO」、「施華洛」及び白鳥図案などの登録商標(以下、係争商標という)を取得しており、並びに台湾において「SWAROVSKI」、「施華洛世奇」ブランドに膨大な広告と販売促進費用を投資している。経済部知的財産局(以下、知的財産局という)が2010年11月に編成された「著名商標リスト及びケース分析付録」及び「著名商標案件集」にも「SWAROVSKI」、「施華洛世奇」及び白鳥図案などの商標が著名商標として列記されている。しかし、被告は2004年10月から、原告の名声に便乗して営利を図り、原告が所有する「施華洛」商標を使用し、「施華洛」文字を会社の名称にして、施華洛婚紗撮影有限公司を開設し、並びに「http://www.swarov.com.tw」を被告の公式サイトのドメインネームに使用している。被告は原告の同意を得ずに、原告所有の「施華洛」を使用し続けているほか、原告所有の「施華洛世奇」、「SWAROVSKI」及び白鳥図案などの商標と同一又は近似しているものを会社の特定名称、ドメインネーム、看板、名刺、広告、ウェブページ或いはその他販売促進物品に使用し、関連消費者に誤認混同させるのみならず、係争商標の識別性と信用を減損させている。原告の登録商標はすでに関連事業又は消費者が、それが原告の提供した商品或いは役務であると区別する表徴となっているので、被告による原告の登録商標の侵害行為は公正取引法の規定にも違反している。よって、商標法第29条第2項第2号、第3号、第61条、第62条、第64条、公正取引法第20条第1項第2号、第24条、第30条の規定により、本件を提訴し、侵害排除及び判決書の新聞掲載を請求する。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求内容
1. 被告は「施華洛」又は「施華洛世奇」と同一又は近似している文字を会社名称の主要部に使用してはならず、商業名称を「施華洛」又は「施華洛世奇」と同一又は近似していない名称に変更登記しなければならない。
2. 被告は「SWAROVSKI」、「SWARO」と同一又は近似している文字をドメインネームの主要部に使用してはならず、ドメインネーム「http://www.swarov.com.tw」の登録を取消すべきである。
3. 被告は「施華洛」、「施華洛世奇」、「SWAROVSKI」又は白鳥図案と同一又は類似するものを看板、名刺、広告、ウェブページ及びその他販売促進物品に使用してはならない。
4. 被告は「施華洛」、「施華洛世奇」、「SWAROVSKI」又は白鳥図案と同一又は近似している文字を看板、名刺、広告、ウェブページ及びその他販売促進物品に使用していたものを廃棄しなければならない。
5. 被告の費用負担により、本件の一審判決書の案件番号、当事者、事由及び主文の全文を新細明体10号の字体の大きさで、蘋果日報、聯合報及び自由時報全国版(A、B版)の第一面にそれぞれ一日掲載しなければならない。
(二)被告答弁の主張:原告の訴えを棄却する。

三 本件の争点
(一)被告の行為は商標法第29条第2項第2号、第3号又は商標法第62条第1号、第2号の規定に合致しているか、原告は商標法第61条、第64条によりそれぞれの請求を主張できるか。
(二)被告は公正取引法第20条第1項第2号、第24条の規定に違反しているか。原告は公正取引法第30条によりそれぞれの請求を主張できるか。

四 判決理由の要約
本裁判所の判断:被告の行為は商標法第29条第2項第2号、第3号又は商標法第62条第1号、第2号の規定に合致しているか、原告は商標法第61条、第64条によりそれぞれの請求を主張できるか。

商標が同一又は近似を構成しているものとは、一般知識又は経験を有する購入者が購入するときに一般の注意を払い、2つの商標の主要部の外観、概念又は読み方を隔離してそれぞれを観察したときに、誤認混同させる恐れがあるか否かによって判断すべきである。よって、両者の商標が外観、概念又は読み方について、主要部の文字、図案又は記号と一つでも類似していて、一般消費者に誤認混同させる恐れがある場合は、類似の商標と判断される。さらに、商標の外観や概念を誤認混同させる恐れがあるか否かは、客観的な事実に基づき、以下の原則に沿って判断すべきである。1. 一般知識又は経験を有する購入者が購入するときに一般の注意を払っていることを基準とする。2. 商標の文字、図案又は記号を異なる時間と場所に隔離した上、全体を観察することを基準とする。3. 商標が文字、図案又は記号による連帯表示のものは、各部分について観察し、構成の主要部を基準とする。よって、2つの商標が類似するかの判断は、それぞれの商標が「外観」、「概念」、「読み方」において特別顕著であり、標識全体を構成する主体印象の主要部を異なる時間、異なる場所に隔離してそれぞれ観察したときに、消費者に誤認混同させる恐れあるか否かを判断すべきである。さらに、商標の類似の判断は、全体を隔離した上全体を総括して観察することを原則とするが、もし、商標図案の一部分が特に人の注意を引きつけることができ、その部分の商標の識別機能が顕著なときは、その部分について比較観察を行うことができる。この点は単純に商標を分割して比較する方法とは異なる(最高行政裁判所73年判字第1144号判決趣旨を参照)。次に、識別性を減損させるとは、著名商標が他人により連続的に模倣使用されることで、関連消費者の認知において、著名商標が表示しようとする商品又は役務の出所との関連性が希釈されることをいう。換言すれば、他人による当該著名商標の模倣使用によって、著名商標の識別性が減損したり、価値が低下したり、希釈化することはすべて薄れる効果に該当する。

原告所有の「SWAROVSKI」、「施華洛世奇」の商標は水晶、宝石類装飾品などの商品又は役務に使用されている著名商標であり、すでに一般消費者によって認知されている。一方、被告は商標を使用しているブライダル服装のレンタル、フォーマルウェアのレンタルなどの役務に被告の構想又は価値を際たたせるために、水晶、宝石類装飾品などの商品を組み合わせている。この点は被告が「ブライダルブティック」などの文字を使用している点から証明できる。従って一般消費者に両者の商品又は役務の出所が同一であると誤認混同させる、又は両者の商品又は役務が同じ出所からのシリーズ商品あるいは役務である、もしくは両者の使用者の間に系列企業、許諾関係、加盟関係その他類似関係が存在すると誤認混同させる恐れがある。よって、被告の行為はすでに著名商標を表す原告の商品又は役務の識別性を弱めており、著名商標の識別性の減損、価値の低下、希釈化をさせたり又は薄れさせていると言える。

2012年4月11日
知的財産裁判所第3法廷
裁判官 陳容正
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