公告が商標に 黒松が花太郎を争い敗訴

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I 公告が商標に 黒松が花太郎を争い敗訴

■ ハイライト
 黒松公司が商品の「黒松茶花緑茶」を宣伝する為に、「花太郎」を主役にした平面、テレビCMシリーズを制作したが、広告の中の相撲力士が転身してモデルになる独創性が印象深いものだった。過日、台中のある日本料理店が「花太郎」という名称を使い、知的財産局に商標を出願して許可を受けたところ、黒松がこれに異議を申立てた。その後、裁判所が審理を経て異議不成立と認定した為、黒松が再度行政訴訟を提起したが、結局棄却された。
 黒松は2009年より「黒松茶花緑茶」を発売。同年十月、川井国際餐飲公司が台中で日本料理店を開店したが、名称を同じく「花太郎」とし、知的財産局に商標登録を出願し許可された。その後、続いてインターネット上で販売促進キャンペーンを行い、更には「花太郎はモデルになりません、あなたはグルメに変身してください」のキャッチフレーズで広告を出した。
 これについて黒松公司は知的財産裁判所に異議を申立てたが、裁判所により不成立との決定を受けた為、黒松公司がこれを不服として、再度行政訴訟を提起した。
 知的財産裁判所は、黒松公司が登録した商標は「花太郎」ではなく、なお且つ「花太郎」は
単なるバーチャルな広告上の役柄であり、加えて川井公司の「花太郎」商標も単に随意性の中国語商標図案であり、黒松公司が広告宣伝した相撲力士とは明らかに異なっていると認定し、黒松の訴えを退けた(2012-04-15/中国時報/A8版)。

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】100年度行商訴字第170号
【裁判期日】2012年4月12日
【裁判事由】商標異議

原告 黒松股份有限公司
被告 経済部知的財産局

上記当事者間における商標異議事件について、原告が経済部2011年11月2日経訴字第10006105520号訴願決定を不服として行政訴訟を提起したが、本裁判所は参加人に、被告の訴訟に独立参加するように命じた。本裁判所の判決は以下のとおりである。

主文
原告の訴えを棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。

一 事実要約
参加人は2009年10月15日に「花太郎」商標を、商標法施行細則第13条所定の改訂前商品及び役務分類表第35類の寿司小売役務提供、刺身小売役務提供、サラダ小売役務提供、食品、飲料小売役務提供、水産製品小売、畜産製品小売役務提供、食品、飲食事業に関するフランチャイズチェーンコンサルタント提供、企業管理コンサルタント役務提供、輸出入代理役務及び国内外企業各種製品の代理見積り入札、販売会社情報提供、他人の為の資材購買業務提供、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ショッピングセンター、通信販売、テレビショッピング、インターネットショッピング等の役務に使用を指定し、被告に商標登録出願し、その後被告の審査を経て、本判決付図の第1417658号商標(以下、係争商標)として登録を許可された。これに対し原告が、係争商標は商標法第23条第1項第14号規定に違反しているとして、異議を提起したが、被告は審査を経て、2011年7月21日付中台異字第G00990722号商標異議審決書を以って「異議不成立」の処分とした。原告は原処分を不服として訴願を提起したが、経済部により2011年11月2日に経訴字第10006105520号訴願決定を以って棄却された為、本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
原告の主張:原行政処分と訴願決定をいずれも取消す。被告は係争商標異議成立と審決しなければならない。
被告の答弁:原告の訴えの棄却を声明により請求する。

三 本件の争点
原告による「花太郎」名称の使用は、商標の使用要件を満たしているか?

四 判決理由の要約
原告による「花太郎」の使用は、商標使用要件を満たしていない。商標法で言う商標の使用とは、販売の目的で、商標を商品、役務又はそれと関連する物件に用いたり、又は平面画像、デジタルマルチメディア、電子メディア又はその他媒介物を利用して、関連の消費者にそれが商標であると十分に認識させるものであり、これについては商標法5条に定められている。よって、商標使用が備えていなければならない要件には次のようなものがある。1.使用者に、商品又は役務の販売という目的がなければならず、これは使用者の主観的意思である。いわゆる販売とは、市場への販売を商業取引とするものであり、販売の範囲には国内市場や海外市場が含まれる。2.商標を表示する積極的な行為がなければならない。3.表示は関連消費者にそれが商標であると十分に認識させなければならない。原告は異議申立ての根拠とする「花太郎」を商品の商標として使用した云云と主張したが、被告と参加人はいずれも、関連消費者が認識していたのは「黒松」商標であると抗弁し、「花太郎」は単に広告の中の人物名称に過ぎず、商標の使用ではない等と述べた。そうであるなら、本裁判所は異議申立ての根拠とする「花太郎」の原告による使用について、商標使用の要件を満たしているか?を自ら検討しなければならない。
調べたところ、次のことが判明した。1.原告の商品商標は黒松である。2.花太郎は原告商品の広告の人物名称である。3.花太郎は原告商品の名称又は表示ではない。原告のテレビCM中で使用していた「花太郎」という言葉は、単に全広告内容の一部分に過ぎず、関連消費者も広告から「花太郎」という言葉と原告商品が関係があることを認識したり意識することはできない。原告は広告で確かに「花太郎」という言葉を使用したが、それは全て他の言葉と連結して使用しており、単独使用ではないので、原告の広告文句から「花太郎」という言葉に独立した識別性があると知ることはできない。ましてや、原告商品には「花太郎」と名づけたり、表示として使用するような状況もない。

以上をまとめると、係争商標と異議申立ての根拠とする「花太郎」は確かに類似していて、参加人と原告の商品又は役務も類似しているが、原告による「花太郎」の使用は商標使用の要件を満たしておらず、参加人も特定の関係により異議申立ての根拠である「花太郎」の存在を知っていたわけではない。先願主義の原則において、係争商標は公告時の商標法第23条第1項第14号の登録できない事由には該当しない。よって、原処分が異議不成立と審決したことは法的に根拠があり、訴願決定を維持したことにも誤りはない。原告がそれでも前記状況にこだわり、原処分及び訴願決定を取消すよう訴えたことには理由がないので、棄却しなければならない。

2012年4月12日
知的財産法院第二法廷
審判長裁判官 陳忠行
裁判官 曾啓謀
裁判官 林洲富
TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor