50年と13年の対決 商標争い 清涼飲料水の公園号酸梅湯(サンメイタン) 年の功で勝ち残る

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I 50年と13年の対決
  商標争い 清涼飲料水の公園号酸梅湯(サンメイタン) 年の功で勝ち残る

■ ハイライト
 台北市衡陽路に所在する老舗業者が「公園号」三文字を商標登録出願したところ、知的財産局が、その商標が彰化にあるもう一軒のホットコールドドリンク店の商標と類似しているとして、拒絶査定を下した。これに対して、当該業者が、新たに知的財産裁判所に行政訴訟を提起したところ、裁判官が「公園号」酸梅湯の知名度が高いので、登録査定すべきであると認定し、原処分及び訴願決定を取消したので、本件は知的財産局に差戻しとなり、判決の見解に添って再び審理されることになった。
 台北市二二八公園に隣接する「公園号」酸梅湯は50年余りの歴史を有し、数多くの有名人、グルメ番組及び国内外のメディアに推薦及び報道され、昨年の年末にも「台北市文献委員会」により「台北市百家老商号特展」(台北市老舗百店舗)の一軒として選出された。
 「公園号」業者である欧徳蕙氏は、一度商標出願をしようとしたが、利朋公司が早くも10年余前に、「公園号」三文字をジュース、酸梅湯等飲料の商標として登録したことがわかったため、諦めた。しかし、同氏は、引き続き状況に注意し、利朋公司が2009年末に商標存続期間満了後、更新しなかったことが判明したため、昨年4月に、知的財産局にジュース等飲料の商標として出願した。
 知的財産局は、商標登録出願した酸梅湯「公園号」が、彰化県にある飲料店業者の陳氏が登録した「公園」商標と類似し、且つ飲料を販売しているために、消費者に誤認混同を生じさせやすいと認定し、拒絶査定を下した。
 欧徳蕙氏は訴願を提起したが、棄却されたため、知的財産局を被告とし、知的財産裁判所に行政訴訟を提起した。欧氏は、「公園号」商標は家族で50年余りも使用しており、すでに著名商標となっていて、知名度が陳氏の飲料店より高いばかりでなく、商標の外観、呼称も異なり、消費者に混同を生じさせないので、原処分及び訴願決定を取消すよう裁判官に請求した。
 利朋公司と彰化にいる陳氏という飲料業者はともに、13年前に商標権を取得した。当初、知的財産局が審査した結果、利朋公司が公園号をサイダー、ジュースなど飲料の商標とし、陳氏が飲料店の商標として登録しているので、両者の役務の性質が異なっていると認定し、類似しているこの二つの商標を長年にわたり並存させた。
 裁判官は、知財局が当初、この二商標の並存を許可させたことから、欧徳蕙氏が登録出願した公園号商標に対して差別を与えてはならないほか、欧徳蕙氏の家族も長年にわたり、「公園号」商標を使用しており、市場で高い地位に立っている、又は商業上著名であるので、商標の善意の使用に該当し、保護を受けられるはずであると認定し、原処分及び訴願の決定を取消した。(2012-04-01/聯合報/A8版)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所行政判決
【裁判番号】101年度行商訴字第9号
【裁判期日】2012年03月29日
【裁判事由】商標登録出願

原告 欧徳蕙
被告 経済部知的財産局

上記当事者間における商標登録出願事件につき、原告が経済部による2011年12月1日経訴字第10006106440号訴願決定を不服とし、行政訴訟を提起したので、本裁判所は、次の通り判決する。

主文
訴願決定及び原処分を共に取消す。
被告は第099014619号「公園号」商標登録出願事件につき、本判決の法律見解に基づき、別途処分しなければならない。
原告によるその他の訴えを棄却する。
訴訟費用の二分の一は被告の負担とし、残りは原告の負担とする。

一 事実要約
原告は、2010年4月1日に本判決付図1に示す通りの「公園号」商標(以下係争登録商標)を商標法施行細則第13条所定の商品及び役務区分表第32類のジュース、サイダー、ミネラルウォーター、蒸留水、スポーツドリンク、果物・野菜ジュース、アルコールを含有しない果物ジュース、烏梅濃汁(梅シロップ)、酸梅湯、レモンジュース、梅ジュース、包装飲用水、清涼飲料、アルコールを含有しない飲料、アルコールを含有しない濃縮ジュース、酢を含有する飲料、果実飲料、冬瓜茶(とうがん茶)、野菜ジュース等商品に使用し、被告に対して登録出願した。被告が審査した結果、登録出願に係る係争商標が商標法第23条第1項第13号に違反するので、商標法第24条第1項の規定により登録を受けることができないと認定した。原告は、原処分を不服とし、訴願を提起したが、経済部により2011年12月1日経訴字第10006106440号訴願決定で棄却されたので、これを不服とし、本裁判所に行政訴訟を提起した。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:(1)原処分及び原決定を共に取消す。(2)被告は登録許可する旨の審決を下すべきである。
(二)被告の答弁:原告の請求を棄却するよう声明する。

三 本件の争点
(一)他の商標と同一の「公園号」を商標登録出願したことについて、市場において当該商標と引用商標「公園THE PARK及び図案」商標並存の事実を引用して、誤認混同のおそれがないことの判断根拠とすることができるか?
(二)同時に「類似商標」、「類似商品/役務」に誤認混同のおそれがある要素が存在するとき、どのように誤認混同を構成しないと総合的に判断するのか?
(三)出願人、日時環境が異なると、商標個別案件の審査は、平等原則に違反するか否か?

四 判決理由の要約
同一又は類似の商品又は役務における他人の登録商標又は先に出願された商標と同一又は類似の商標が、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるとき、登録を受けることができないと商標法第23条第1項第13号に明文で規定されている。

(一)商標識別力の強弱:
登録出願に係る係争商標と引用商標には共に中国語の「公園」図案があるが、「公園」の二文字は一般の民衆に熟知され、たとえ公園と関わりがない特定商品又は役務に使用し、商標の使用に該当しても、商品、役務自体を叙述又は暗示する性質がないので、それは任意的商標に該当し、識別力が比較的に強い。調べたところ、登録出願に係る係争商標と引用商標との図案は同一の中国語「公園」図案であり、かつ同一又は類似の飲料商品又は役務に使用されているので、関連する消費者に誤認混同を生じさせやすい。

(二)商標の類否及びその類似程度:
登録出願に係る係争商標「公園号」と引用商標「公園及び図案」の商標との比較を行なうと、両者の実質的意味は公園と関わりがあり、観念の類似を構成するほか、同一の識別部分である「公園」中国語があり、一部の文字及び図案に区別があるだけであるので、一般の知識、経験を有する関連消費者が購入時に普通の注意を施した場合に、誤認又は混同を生じる可能性がある。

(三)商品又は役務の類否及びその類似程度:
1.登録出願に係る係争商標はジュース、サイダー、ミネラルウォーター等指定商品で使用されている。その一方、引用商標はホットコールドドリンク店(冷熱飲料店)の指定役務で使用されている。よって、両者の指定商品及び指定役務を比較する際に、社会の一般的な取引現状に基づけば、ホットコールドドリンク店による宅配、ティクアウト経営方法はその通常の取引行為であり、両者ともに飲料の経営であり、販売ルート及び場所に関連性があるので、製品の製造者及び役務の提供者と共通性があるほか、取引対象も重なっている。
2.誤認混同の2タイプ:(1)商品又は役務が同一の出所に由来するとの誤認;(2)同一の出所に由来するシリーズ商品又は役務であるとの誤認。

(四)販売方法及び販売場所:
登録出願に係る係争商標を使用した各指定商品が、引用商標を使用した指定役務の営業所において入手できることを参酌すれば、両商標の指定商品又は指定役務を、関連する消費者が同一又は類似の場所で入手することができ、その販売ルートが重なっているので、関連する消費者は同時に接触する機会があり、誤認混同を引き起こす可能性が高いと認定するに足りる。

(五)関係する消費者の商標に対する熟知度:
1.本裁判所が、各事実証拠を参照したところ、次のことが判明した。それは、原告が長年にわたり、登録出願に係る係争商標「公園号」をその販売する酸梅湯等の指定商品に使用していることがしばしばテレビ、平面メディア及びウェブサイトにより報道、掲載されていたほか、有名人により推薦され、「台北市文献委員会」が剥皮寮(ボーピーリャウ)で開催した「台北市老舗百店舗特展」の展示商店としても選出されたことから、登録出願に係る係争商標が、原告及びその家族により50年もの長年にわたり使用され、すでに関連する消費者に広く周知され、原告による商品を識別する重要な表示となっているので、相当な商標の識別力を有していると言え、且つこれをもって、引用商標と相互区別することができる。
2.被告は、前記登録第871008号「公園号」商標が引用商標と共に、1999年に登録を受けた当初、サイダー、ジュース等商品と「ホットコールドドリンク店」の役務とは類似関係がないと抗弁した。しかし、調べた結果、前記登録第871008号「公園号」商標をホット・コールド飲料指定商品に使用したことは、原告が提出した役務の商標資料検索を裏付けとして証明することができる。よって、これと引用商標をホットコールドドリンク店の指定役務に使用していることは、兩者とも一般の社会通念及び市場の取引状況に基づき、ホットコールドドリンク店でアイス・ホット飲料の商品又は役務を提供しているので、両者の商品及び役務において類似関係が成立していると言える。
3.登録第871008号「公園号」商標は、もともと利朋公司が1998年頃先に出願したものであるが、その存続期間が2010年9月30日に満了したため、登録第871008号「公園号」商標と引用商標が市場において数年にわたり並存していた。また、原告とその家族が長年にわたり「公園号」商標を「酸梅湯」商品に使用していることは、新聞、雑誌及びウェブサイトにより広く報道、宣伝され、すでに関連する消費者に広く認識されているため、相当な知名度を有している。それ故、関連する消費者は登録出願に係る係争商標と引用商標との差異を容易に区別、識別できるので、登録出願に係る係争商標が表彰する商品の出所又は製造の主体に対しての誤認混同を生じるおそれはない。ましてや、比較したところ、登録出願に係る係争商標は引用商標より、その市場において高い地位にあるか又は著名な商業上の名声を有するので、関連する消費者も登録出願に係る係争商標により馴染みがあると認定するに足りる。よって、登録出願に係る係争商標は保護を受けるべきである。

(六)商標の出願人が善意であるか否か:
調べたところ、登録第871008号「公園号」商標はその存続期間満了後、更新登録されなかったため、商標権も消滅した。原告が早速2011年4月1日に商品の標識と登録商標を一致させるために、本願商標「公園号」を登録出願したことには、関連する消費者にその出所について誤認混同を生じさせる意図がないことが明らかであり、善意の使用に該当するのは言うまでもない。

以上を総じると、本件原告による訴えの一部分には理由があり、一部分には理由がないので、知的財産案件審理法第1条、行政訴訟法第104条、民事訴訟法第79条により、主文の通り判決する。

2012年3月29日
知的財産裁判所第二法廷
審判長裁判官 陳忠行
裁判官 曾啓謀
裁判官 林洲富

付表:登録出願に係る係争商標の図案と引用商標の図案 

 係争商標(付図1)

 引用商標(付図2)

 先行登録商標
(更新登録なく、消滅)(付図3)

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