インターネットの商標名があまりに酷似、裁判官が強制説明を判決

2013-12-30 2012年

■ 判決分類:商標権

I インターネットの商標名があまりに酷似、裁判官が強制説明を判決

■ ハイライト
 心任国際有限公司は葉という男性がインターネットで電子グッズを宣伝するために使用している「yes3c」、「my yes3c」と、同社が商標権を取得している「YE’s 3C」とがまったく同じであるので、相手方に使用してはならないと求める告訴を知的財産裁判所に提起した。裁判官は審理した上で、葉がネットで「yes3c」、「my yes3c」文字を使用するにあたって、同一のウェブページに「本商品又は役務は『YE’s 3C』と関わりがない」との文字を付加しなければならないとする判決を言い渡した。ただし、本件は、上訴することができる。
 また、裁判官は、心任公司が商標を取得する前に、葉がすでに「yes3c」を善意で先に使用しているので、商標法の拘束を受けないほか、2006年頃、消費者が「YE’s 3C」商標を通常認識していたと心任公司が証明できないので、公平取引法違反はないとも認定したが、両者が確かに類似しており、誤認混同を生じさせるおそれがあるので、前記のような判決を言い渡した。(自由時報/2012-3-18/B4版)

II 判決内容の要約

知的財産裁判所民事判決
【裁判番号】100年度民商訴字第37号
【裁判期日】2012年03月07日
【裁判事由】商標権侵害行為の排除等

原告 心任国際有限公司
被告 葉正義

上記当事者間における商標権侵害行為の排除等の事件につき、本裁判所は2012年2月13日に口頭弁論を終結し、次の通り判決する。

主文
被告がインターネットで「yes3c」、「my yes3c」をその商品又は役務に使用するにあたっては、同ウェブページに「本商品又は役務は『YE's 3C』と関わりがない」との文字を付加しなければならない。
原告によるその他の訴えを棄却する。
訴訟費用について、被告がその三分の一を負担し、残りを原告の負担とする。

一 事実要約
原告はすでに経済部知的財産局より登録第00000000号、登録期日、登録公告期日、登録商標(以下係争商標)、商標名、専用期限、専用商品及び指定区分(ネットオークション、ネットショッピング等)を取得しており、その存続期間は2008年1月16日から2018年1月15日までである。しかし、被告はあえて、サイトで「yes3c」、「my yes3c」としてその商品及び役務を表彰し、かつ「yes3c」、「my yes3c」等文字を製品のパッケージに使用したことにより、消費者に誤認混同を生じさせ、且つ被告が前記の文字を使用し、販売しているコンピューター周辺製品も原告が販売している指定商品と同じである。このため、商標法第29条第2項第1号、第3号、第61条第1、2、3項、第62条第2号及び公平取引法第20条第1項第2号、第30条等の規定により、被告に対し前記の文字をその販売している製品のパッケージ、広告宣伝物、サイト又はその他のメディアに使用することができないばかりか、前記文字を削除しなければならないと求めた。また、一歩退いて言って、たとえ被告が善意の先使用者に該当すると認定されたとしても、原告も商標法第30条第1項第3号後段の規定により適切な区別表示を付加するよう被告に請求することができる。

二 両方当事者の請求内容
(一)原告の請求:
1.主位的請求:
(1)被告は「yes3c」、「my yes3c」文字をその販売している商品のパッケージに使用できないほか、前記商品販売のためにその製作した広告コピー、サイト及びその他のメディアにも使用することができない。
(2)被告が前項に違反して、商品、パッケージ、広告コピー、サイト及びその他のメディアに使用している「yes3c」、「my yes3c」の文字を除去又は削除しなければならない。
2.予備的請求:
被告が「yes3c」、「my yes3c」文字と同一又は類似のものを被告の商品、パッケージ、看板、ウェブページ、広告、看板に使用し、又はその他の標記を使用するにあたっては、同一の比率又は同一の版面で「本商標及び商品は『YE's 3C』商標と関わりがない」との文字又はその他の適切な区別表示を付加しなければならない。
(二)被告の請求:
1.原告の訴え及びその仮執行の申し立てを棄却する。
2.不利な判決を受けた場合、担保を供託するので、仮執行免除の宣告を請求する。

三 本件の争点
(一)主位的請求の部分:
1.原告は商標法第29条第2項第1、3号、第61条第1、2、3項、第62条第2号により侵害の排除を請求することができるか?
2.原告は、公平取引法第20条第1項第2号、第30条の規定により侵害の排除を請求することができるか?
(二)予備的請求の部分:
もし、被告の行為が、商標法第30条第1項第3号に該当する場合、原告は同号ただし書により適切な区別表示の付加を被告に請求することができるか否か?

四 判決理由の要約
(一)主位的請求の部分:
(1)他人の商標登録出願日より前に、善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務に使用するものは、他人の商標権の効力に拘束されないと商標法第30条第1項第3号前段に明文で規定されている。他人の登録商標であることを明らかに知りながら、当該商標にある文字を自らの会社名、商号名、ドメイン名又はその他の営業主体を表彰し、又は出所の標識とし、商品又は役務に関連する消費者に誤認混同を生じさせるときは、商標権を侵害するものとみなすと商標法第62条第2号にも明文で規定されている。
(2)係争商標が2007年4月4日に出願登録され、被告がネットで「yes3c」、「my yes3c」をその商品及び役務に表彰した事実があるとの原告の主張については、被告も否認しなかった。また、「yes3c」、「my yes3c」が係争商標と同一又は類似しており、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるか否かを問わず、被告はすでに係争商標の出願日の2007年4月4日より前の2006年9月3日からすでに善意で「yes3c」をその商品又は役務に使用していることから、係争商標の効力に拘束されないことは当然である。これに準じれば、被告が商標法第29条第2項第1、3号の規定に該当し、同法第61条の規定により侵害の排除を請求するとの原告の主張は不適切である。
(3)原告は別途商標法第62条第2号の規定により侵害の排除を請求したが、被告は早くも係争商標の出願日より前の2006年9月3日より善意で「yes3c」をその商品又は役務に使用しているので、他人の登録商標を明らかに知っているのではないばかりか、原告が提出した証拠をもって、関連する消費者に何らかの商品又は役務の誤認混同を生じさせる結果の発生を証明できないので、原告によるこの部分の主張も不適切である。
(4)本件の被告は係争商標出願日より前の2006年9月3日に善意で「yes3c」をその商品又は役務に使用しているので、原告は、2005年4月13日から「YE's 3C」を使用していたと主張しているが、その提出した証拠をもっても、なお「YE's 3C」が2006年9月3日時点で関連する事業者又は消費者により原告の営業、役務の表彰として普通に認識されていたことのの証明になり得ないので、関連する事業者又は消費者により係争商標が普通に認識される前に、被告が善意で使用していたと認定できる。これに準じれば、被告が公平取引法第20条第1項第2号に違反したとして、原告が同法第30条により侵害の排除を請求したことは不適切である。

(二)予備的請求の部分:
(1)他人の商標登録出願日より前に、善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務に使用するものは、他人の商標権の効力に拘束されないが、原使用の商品又は役務に限られる。商標権者が適切な区別表示を付加するよう請求することができることは、商標法第30条第1項第3号に明文で規定されている。次に、いわゆる商標の構成が同一又は類似しているものとは、普通の知識、経験を有する一般商品の消費者が購入時に普通の注意を施して、両商標の主要部の外観、観念又は呼称の隔離的観察を行ったときに、誤認混同を生じさせるおそれがあるか否かを判断する。もし両商標の外観、観念又は呼称についてその主要部の文字、図案又は符号のいずれかが類似し、一般の消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるに足りるときは、類似の商標に該当する。
(2)係争商標と被告の使用している「yes3c」、「my yes3c」との比較を行なったところ、両者ともに消費者の目を引く「yes」英文字があり、その呼称、観念に差異がなく、文字の大文字、小文字、文字の太さ及び「'」、「my」の有無、図案の差異があるに過ぎない。よって、全体的な外観、観念、呼称が同一であるとの印象を人に与え、両者共に、ネットオークション、ネットショッピングで使用され、且つ電子商品を販売しているほか、同じサイトのプラットフォームを通じて販売していることから、係争商標の指定商品又は使用役務と被告の使用している商品役務とは、一般の社会通念及び市場の取引実態から判断すれば、同一又は類似の商品又は役務に該当するはずである。従って、係争商標と被告が使用している「yes3c」、「my yes3c」の主要部との外観、観念、呼称は極めて類似し、類似を構成する商標に該当するので、前記の類似商品又は役務に使用するにあたり、関連する消費者に誤認混同を生じさせるおそれがあるのは当然である。
(3)本件の被告は、係争商標の出願日より前に善意で「yes3c」をその商品又は役務に使用しているので、係争商標の効力に拘束されないが、原告である商標権者は、商標法第30条第1項第3号後段により、なおも適切な区別表示の付加を要求することができる。また、適切な区別表示とは、当該表示が客観的に両者の商品又は役務が同一の出所に由来するものではないと区別するに足りるほか、出所が異なるが、それと関わりがあるとの誤認混同を生じさせない、必要なものでなければならない。これに準じて、本裁判所は、前記の状況及び全ての必要な状況を酌量した結果、被告がサイトで「yes3c」、「my yes3c」をその商品又は役務に使用するにあたり、同一のウェブページで「本商品又は役務は『YE's 3C』と関わりがない」との文字の付加が必要であり、且つそれは消費者に客観的に両商品又は役務が同一の出所に由来するものではないと十分に区別させることができるほか、出所が異なるが、それと関わりがあるとの誤認混同を生じさせない適切な区別表示でなければならないと認定した。

前記を踏まえて、被告は早くも係争商標の出願日より前に善意で類似の商標をその商品又は役務に使用しているので、原告による主位的請求で、「yes3c」、「my yes3c」の文字をその販売している商品のパッケージのほか、前記商品の販売に際して、製作する広告宣伝物、サイト及びその他のメディアに使用してはならないと被告に請求したこと、及び被告が前項に違反したとして、商品、パッケージ、広告宣伝物、サイト及びその他のメディアに使用している「yes3c」、「my yes3c」の文字の除去又は削除を請求したことは、不適切なので、棄却されるべきである。しかし、予備的請求で、商標法第30条第1項第3号後段の規定により、サイトで「yes3c」、「my yes3c」をその商品又は役務に使用するにあたり、同一のウェブページに「本商品又は役務は『YE's 3C』と関わりがない」との文字の付加を被告に請求したことには、理由があり、許可されるべきである。この範囲を超える請求は理由がなく、許可できない。

以上をまとめると、本件の原告による訴えの一部分には理由があり、一部分には理由がないので、知的財産案件審理法第1条、民事訴訟法第79条により、主文の通り判決する。

2012年3月7日
知的財産裁判所第三法廷
裁判官 陳容正
2012年3月13日
書記官 劉筱淇

 

TIPLO ECARD Fireshot Video TIPLO Brochure_Japanese TIPLO News Channel TIPLO TOUR 7th FIoor TIPLO TOUR 15th FIoor