特許権者が明細書で特許請求の範囲における用語に特別な意味を与えているとき、その特別な意味で解釈
2026-06-24 2025年
■ 判決分類:特許実案意匠
I 特許権者が明細書で特許請求の範囲における用語に特別な意味を与えているとき、その特別な意味で解釈
■ ハイライト
原告は台湾第I380671号特許(以下「係争特許1」)、第I439669号特許(以下「係争特許2」)の専用実施権被許諾者である。原告は次のように主張した:被告は原告の同意を得ずに、Find Nシリーズ、Find Xシリーズ、Renoシリーズ、Aシリーズの携帯電話デバイス(以下「係争商品」)の輸入、販売の申し出、販売を行い、それにインストールして使用されている「Color OS13」又は「Color OS14」OSは、ユーザー向け説明書、又は被告のサイトに記載された実施の技術的特徴を対比した結果、文言上、係争特許1及び2の請求項の範囲に入り、特許権侵害を構成しているため、専利法第96条第2項、第97条第1項第2号、第2項等の規定により本件訴訟を提起し、被告に損害賠償を請求する等々。
係争特許1請求項1の用語である「マルチタスクモジュール」をどのように解釈すべきか。
係争特許1請求項1の「マルチタスクモジュール」は「同時に複数のプログラム又は作業を行い、並びに画像情報と音声情報を同期化する機能を有するモジュール」と解釈すべきである。請求項を解釈するとき、その中のすでに知られる用語についてはその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が理解する通常の意味に解釈すべきであるが、特許権者が明細書においてその用語に特別な意味を与えているときは、明細書に記載された特別な意味に基づいて解釈すべきである。係争特許1の明細書第14乃至15頁から、係争特許1の「マルチタスクモジュール」は画像情報と音声情報を同期化する機能を有することがわかり、マルチタスクモジュールは当業者が理解するところの同時に複数のプログラム又は作業を行うことができる機能を有するという意味に解釈する以外に、係争特許1明細書で与えられている画像情報と音声情報を同期化する機能という特別の意味を含むべきであるため、被告の主張は採用するに足りない。
II 判決内容の要約
知的財産及び商事裁判所民事判決
【裁判番号】113年度民専訴字第70号
【裁判期日】2025年9月9日
【裁判事由】財産権関連の専利権侵害争議等
原告 艾恩科技股份有限公司(APAM TECHNOLOGY CO., LTD.)
被告 薩摩亞商新茂環球有限公司台湾分公司(NEW BOOM GLOBAL LIMITED TAIWAN BRANCH(SAMOA))
上記当事者間における財産権関連の専利権侵害争議事件について、本裁判所は2025年8月4日に口頭弁論を終結し、次のとおり判決する。
主文
一、原告の請求を棄却する。
二、訴訟費用は、原告の負担とする。
一 事実要約
原告は台湾第I380671号特許(以下「係争特許1」という)、第I439669号特許(以下「係争特許2」といい、「係争特許1」と併せて「係争特許」という)の専用実施権被許諾者である。原告は次のように主張した:被告は原告の同意を得ずに、Find Nシリーズ、Find Xシリーズ、Renoシリーズ、Aシリーズの携帯電話デバイス(以下「係争商品」という)の輸入、販売の申し出、販売を行い、それらにインストールして使用されている「Color OS13」又は「Color OS14」OSは、ユーザー向け説明書、又は被告のサイトに記載された実施の技術的特徴を対比した結果、文言上、係争特許1の請求項1、3、4、6、11及び係争特許2の請求項14の範囲に入り、特許権侵害を構成しているため、専利法第96条第2項、第97条第1項第2号、第2項等の規定により本件訴訟を提起し、被告に損害賠償を請求する等々。
二 両方当事者の請求内容
原告の請求:被告は原告に対し金151万新台湾ドル及び起訴状副本送達の翌日から支払い済みまで、年5分の割合による金員を支払え。
被告の答弁:(一)原告の請求を棄却する。(二) 不利な判決を受けたときは、担保を条件とする仮執行免脱の宣言を求める。
三 本件の争点
(一)係争商品は文言上、係争特許1請求項1、3、4、6の範囲に入るのか。
(二)係争商品は文言上、係争特許1請求項11及び係争特許2請求項14の範囲に入るのか。
(三)係争特許1請求項11には無効とすべき事由があるのか、原告は権利を主張することができるのか。
(四)係争特許2請求項14には無効とすべき事由があるのか、原告は権利を主張することができるのか。
原告の主張(省略)
被告の主張(省略)
四 心証を得た理由
(一)係争特許1請求項1の「マルチタスクモジュール」、「無線動画通信モジュール」、請求項11の「動画通信モジュール」、「コンバータ」、「前記制御ユニットに結合し、動画通信、動画撮影、又は写真撮影において照明を提供する照明モジュール」、及び係争特許2請求項14の「地理的情報モジュール」、「前記地理的情報モジュールに結合して被救助者の地理的位置を提供できるようにする、伝送モジュール」という特許権範囲の解釈:
被告は次のように主張している:(1)係争特許1請求項1の「マルチタスクモジュール」は「同時に複数のプログラム又は作業を行うことができるモジュール」と解釈すべきであり、2012年3月5日付で提出された補正で係争特許1明細書第14頁に追加された「マルチタスクモジュール500は複数のプログラム又は作業を行うことができ、とくに多方の画像情報を処理する時であり、マルチタスクモジュール500が無いと、信号の遅延が生じて音声情報と画像情報が同期処理されない」という内容(本裁判所ファイル二第502、503頁)を読み取るべきではない;(2)係争特許1請求項11の「モード」が、複数の撮影モードを選択でき、また複数のタイプの照明光源も選択できるのかを確認できない(本裁判所ファイル二第504頁);(3)係争特許2請求項14の「地理的情報モジュール」は「慣性を利用してナビゲーションの手段とし地理的位置情報を提供するモジュールであり、衛星測位を利用して地理的情報を取得する必要がないもの」と解釈すべきであり、「地理的情報モジュールに結合して被救助者の地理的位置を提供できるようにする、伝送モジュール」は「慣性を利用してナビゲーションの手段とし地理的位置情報を提供するモジュールに結合し、かつ衛星測位を利用して地理的情報を取得する必要がなく、被救助者の地理的位置を伝送できる、伝送モジュール」と解釈すべきである。しかし調べたところ以下の通りである:
(1)請求項を解釈するとき、その中のすでに知られる用語についてはその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が理解する通常の意味に解釈すべきであるが、特許権者が明細書においてその用語に特別な意味を与えているときは、明細書に記載された特別な意味に基づいて解釈すべきである。係争特許1の明細書第14乃至15頁から、係争特許1の「マルチタスクモジュール」は画像情報と音声情報を同期化する機能を有することがわかり、マルチタスクモジュールは当業者が理解するところの同時に複数のプログラム又は作業を行うことができる機能を有するという意味に解釈する以外に、係争特許1明細書で与えられている画像情報と音声情報を同期化する機能という特別の意味を含むべきであるため、被告の主張は採用するに足りない。
(2)係争特許1請求項11にはすでにポータブルデバイスで動画通信を行うことが開示されている
動画撮影と写真撮影においては、選択インターフェースで照明モジュールのモードを選択でき、係争特許1の明細書第13頁にも、照明光源のモードは赤外線モードやフラッシュモードのようなナイトモードであってよいことが開示されており、即ち「モード」は照明光源のモードである。よって撮影モードは照明光源を提供するのに用いるモードではないという被告の主張は採用するに足りない。
(3)さらに係争特許2の明細書には「地理的情報モジュール」等に関連する内容が記載されていない。よって「地理的情報モジュール」は「慣性を利用してナビゲーションの手段とし地理的位置情報を提供するモジュールであり、衛星測位を利用して地理的情報を取得する必要がないもの」と解釈すべきであり、「地理的情報モジュールに結合して被救助者の地理的位置を提供できるようにする、伝送モジュール」は「慣性を利用してナビゲーションの手段とし地理的位置情報を提供するモジュールに結合して、かつ衛星測位を利用して地理的情報を取得する必要がなく、被救助者の地理的位置を伝送できる、伝送モジュール」と解釈すべきであるとする被告の主張には根拠がない。
(二)係争商品は文言上、係争特許1請求項1、3、4、6の範囲に入らない
1.係争特許1請求項1の「マルチタスクモジュール」は「同時に複数のプログラム又は作業を行い、並びに画像情報と音声情報を同期化する機能を有するモジュール」であり、即ち係争特許1請求項1の「マルチタスクモジュール」は同時に複数のプログラム又は作業を行うことができる他に、画像情報と音声情報を同期化できる機能も有する。甲第4号証又は甲第6乃至11号証の内容により、係争商品は係争特許1請求項1の画像情報と音声情報を同期化する機能に対応する「マルチタスクモジュール」を有しないため、係争商品は係争特許1請求項1の要件1A、1Gの文言に当てはまらない。
2.係争商品は「Color OS 13」又は「Color OS 14」OSがインストールされている携帯電話デバイスであり、当業者は前記携帯電話デバイスが係争特許1請求項1の「制御ユニット」、「ディスプレイ」に対応して、処理、表示の機能を行えることを直接的かつ一義的に導き出すことができ、係争特許1請求項1の要件1B、1Cの文言に当てはまる。
3.係争商品は「Color OS 13」又は「Color OS 14」OSがインストールされている携帯電話デバイスであり、ビデオ機能があり、係争特許1請求項1の「無線動画通信モジュール」に対応し、係争特許1請求項1の要件1Hの文言に当てはまる。
4.以上に基づき、「Color OS 13」又は「Color OS 14」OSがインストールされている係争商品が有する技術的特徴は、係争特許1請求項1の要件1B、1C、1D、1E、1F、1Hの文言に当てはまるが、要件1A、1Gの文言に当てはまらず、オールエレメントルールに適合せず、係争商品は文言上、係争特許1請求項1の範囲に入らない。また係争特許1の請求項3、4、6はいずれも係争特許1請求項1の従属項であり、係争特許1請求項1のすべての技術的特徴を含み、係争商品は文言上、係争特許1請求項1の範囲に入らないため、係争商品は文言上、係争特許1請求項3、4、6の範囲にも入らない。
(三)係争商品は文言上、係争特許1請求項11及び係争特許2請求項14の範囲に入る:
1.係争商品は「Color OS 13」又は「Color OS 14」OSがインストールされている携帯電話デバイスであり、ビデオ機能があり、係争特許1請求項1の「無線動画通信モジュール」に対応し、即ち係争特許1請求項11の要件11A、11Gの文言に当てはまる。係争商品の携帯電話デバイスは「制御ユニット」、「ディスプレイ」、「音声入力/出力ユニット」、「コンバータ」に対応して、データ処理、表示、音声の入力と出力、音声信号のアナログ/デジタル変換の機能を行い、係争商品は係争特許1請求項11の要件11B、11C、11D、11Eの文言に当てはまる。また甲第4号証第26頁に「撮影」、「フラッシュライト」、「画面上のフラッシュライト(の図)を軽くタッチすると、オフ、オン、自動、補助光を設定できる」機能が記載されていることから、係争商品には係争特許1請求項11の写真を撮影するための「画像キャプチャモジュール」、撮影する時に必要な照明光源を提供する「照明モジュール」、撮影する時に照明光源の選択機能を提供する「照明モジュールに結合する、選択インターフェース」があることが分かり、係争商品は係争特許1請求項11の要件11F、11H、11Iの文言に当てはまる。係争商品は係争特許1請求項11の「光センサ」に対応し、光源の条件を検知してフラッシュライトのオンオフを選択する機能を有し、係争商品は即ち係争特許1請求項11の要件11J、11Kの文言に当てはまる。これにより、係争商品は即ち係争特許1請求項11の要件11A乃至11Kの文言に当てはまり、係争商品は文言上、争特許1請求項11の範囲に入る。
2.係争商品は「Color OS 13」又は「Color OS 14」OSがインストールされている携帯電話デバイスであり、係争商品は係争特許2請求項14の要件14Aの文言に当てはまる。また当業者にとって直接的かつ一義的に導き出すことができるものである。前記携帯電話デバイスには「処理ユニット」、「表示ユニット」、「メモリ」があり、データの処理、表示、及び保存の機能を行い、係争商品は係争特許2請求項14の要件14B、14E、14Gの文言にも当てはまる。
係争商品は係争特許2請求項14の「地理的情報モジュール」、「電子マップモジュール」に対応する技術内容を有し、係争商品に現在の位置情報を提供しており、係争特許2請求項14の要件14C、14Dの文言に当てはまる。また係争商品は係争特許2請求項14の「画像キャプチャモジュール」に対応する技術内容を有し、係争商品に写真撮影を提供しており、係争特許2請求項14の要件14Fの文言にも当てはまる。さらに、係争商品には位置シェア機能があり、緊急コールで係争商品の現在位置情報を伝送することができる。係争商品は係争特許2請求項14の「救助要請キー」に対応する技術内容を有し、係争商品に緊急コールの起動を提供し、係争特許2請求項14の「伝送モジュール」に対応する技術内容も有し、係争商品に係争商品に現在の位置情報の伝送を提供しており、係争特許2請求項14の要件14H、14Iの文言に当てはまる。これにより、係争商品は係争特許2請求項14の要件14A乃至14Iの文言に当てはまり、係争商品は文言上、係争特許2請求項14の範囲に入る。
(四)係争特許1請求項11には無効とすべき事由があり、原告は権利を主張することができない:
1.係争特許1の出願日は2008年6月13日であり、優先権主張日(優先日)は2007年6月14日であり、2012年11月19日に特許査定が下されている。よって無効とすべき原因があるか否かは、特許査定時に適用されていた2010年(民国99年)8月25日改正公布、同年9月12日施行の専利法(いわゆる「99年専利法」)を以て判断すべきである。発明が、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者(当業者)が出願前の先行技術に基づいて容易になし得るときは、専利法により特許を受けることができない、と99年専利法第22条第4項に規定されている。
2.乙第4号証、或いは乙第5号証、或いは乙第6号証、或いは乙第5、6号証の組合せ、或いは乙第4、5号証の組合せ、或いは乙第4、5、6号証の組合せはいずれも、係争特許1請求項11の進歩性欠如を証明するに足る:
(1)付表三に示される乙第1乃至6号証の公開日又は公告日はいずれも係争特許1の優先日(2007年6月14日)よりも早いため、乙第1乃至6号証は係争特許1の先行技術であることを、先に述べておく。
(2)乙第4号証と係争專利1請求項11との対比:
乙第4已号証には係争特許1請求項11の全ての技術的特徴が開示されており、係争特許1請求項11は当業者が乙第4号証により容易になし得るため、進歩性を有しない。
(3)乙第5号証と係争特許1請求項11との対比:
乙第5已号証には係争特許1請求項11の全ての技術的特徴が開示されており、係争特許1請求項11は当業者が乙第5号証により容易になし得るため、進歩性を有しない。
(4)乙第6号証と係争特許1請求項11との対比:
乙第6已号証には係争特許1請求項11の全ての技術的特徴が開示されており、係争特許1請求項11は当業者が乙第6号証により容易になし得るため、進歩性を有しない。
(5)乙第4号証、或いは乙第5号証、或いは乙第6号証はそれぞれ係争特許1請求項11が進歩性を有しないことを証明できることは前述した通りであり、乙第5、6号証の組合せ、或いは乙第4、5号証の組合せ、或いは乙第4、5、6号証の組合せは、いずれも係争特許1請求項11の進歩性欠如を証明するに足る。
(五)係争特許2請求項14には無効とすべき事由があり、原告は権利を主張することができない:
1.係争特許2の出願日は2011年1月17日であり、2014年4月24日に特許査定が下されている。よって無効とすべき原因があるか否かは、特許査定時に適用されていた2014年(民国103年)1月22日改正公布、同年3月24日施行の専利法(いわゆる「103年専利法」)を以て判断すべきである。「明細書は、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が、その内容を理解し、それに基づいて実施できるように、明確かつ十分に開示されなければならない。特許請求の範囲は、特許を受けようとする発明を特定しなければならない。それは一以上の請求項を含むことができ、請求項毎に明確かつ簡潔な方式で記載し、かつ明細書によって裏付けられるものでなければならない。」と103年専利法第26条第1、2項に規定されている。次に「発明が、その発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が出願前の先行技術に基づいて容易になし得るときは、特許を受けることができない。」と同法第22条第2項に規定されている。
2.原告による係争特許2請求項14の2013年8月8日付補正内容は(出願時の)明細書、特許請求の範囲又は図面の開示範囲を越えており、係争特許2請求項14は103年専利法第26条第1、2項に違反している:
(1)調べたところ、原告は2013年8月8日に知的財産局に対して係争特許2の補正を提出しており、その中で請求項14に「地理的情報モジュール」に関する内容が追加されており、「前記ポータブル通信デバイス内に設置され、地理的位置情報の提供に用いられる、地理的情報モジュール」、「前記地理的情報モジュールに結合して被救助者の地理的位置を提供できるようにする、伝送モジュール」が含まれる。係争特許2請求項14に追加された「前記ポータブル通信デバイス内に設置され、地理的位置情報の提供に用いられる、地理的情報モジュール」、「前記地理的情報モジュールに結合して被救助者の地理的位置を提供できるようにする、伝送モジュール」は出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に明確に記載されていない。係争特許2請求項14の2013年8月8日付補正は、出願時の明細書、特許請求の範囲又は図面に開示されている範囲を越えている。
(2)係争特許2に係る発明は、ジャイロスコープ、重力センサー、MEMSジャイロスコープ又は加速度センサーに使用し、衛星測位システムを排除して、衛星信号が届かない地下室で測位に必要な地理的位置情報を取得するという課題を解決するものである。その発明の属する技術分野において通常の知識を有する者(当業者)であっても、係争特許2の明細書の開示内容から、係争特許2請求項14のポータブル通信デバイスが、衛星信号の届かない地下室で測位に必要な地理的位置情報を取得して、係争特許2が解決しようとする課題を解決することはできず、即ち係争特許2の明細書は、当業者が明細書、特許請求の範囲及び図面という三者全体を基礎として、出願時の通常の知識を参酌し、過度の実験を行うことなく、その内容を理解でき、係争特許2の発明を製造、使用することで課題を解決し、予期せぬ効果を奏することができるように、係争特許2請求項14に係る発明を明確かつ十分に記載していない。これにより、係争特許2の明細書はそれに基づいて(発明を)実施することができないという状況があり、かつ係争特許2請求項14の補正で追加された内容は明細書によって裏付けられておらず、103年専利法第26条第1、2項規定に違反しており、無効とすべき事由がある。
3.乙第7号証、或いは乙第7、8号証の組合せ、或いは乙第7、9号証の組合せ、或いは乙第7、8、9号証の組合せはいずれも、係争特許2請求項14の進歩性欠如を証明するに足る:
(1)乙第7乃至9号証の公開日又は公告日はいずれも係争特許2の出願日(2011年1月17日)よりも早いため、乙第7乃至9号証はいずれも、係争特許2の先行技術であることを、先に述べておく。
(2)乙第7号証と係争特許2請求項14との対比:
乙第7号証には係争特許2請求項14の全ての技術的特徴が開示されているため、係争特許2請求項14は当業者が乙第7号証により容易になし得るため、進歩性を有しない。
(3)乙第7号証は係争特許2請求項14が進歩性を有しないことを証明できることは前述した通りであり、乙第7、8号証の組合せ、或いは乙第7、9号証の組合せ、或いは乙第7、8、9号証の組合せはいずれも、係争特許2請求項14の進歩性欠如を証明するに足る。
以上の次第で、本件係争商品は文言上、係争特許1請求項1、3、4、6の範囲に入らない。それは文言上、係争特許1請求項11、係争特許2請求項14の範囲に入るが、係争特許1請求項11、係争特許2請求項14にはいずれも無効としてもよい原因があり、知的財産事件審理法第41条第2項規定により、原告は被告に権利を主張することはできないため、原告は専利法第96条第2項、第97条第1項第2号、第2項規定により被告に151万新台湾ドルの元金と利息を賠償するよう請求することには理由がなく、棄却すべきである。
本件原告の請求には理由がなく、知的財産事件審理法第2条、民事訴訟法第78条により、主文の通り判決する。
2025年9月9日
知的財産第一法廷
裁判官 呉俊龍









