「2017 R&D 100 Award」において工研院が9つの大賞を受賞
J171120Y1.J171120Y5 | 2017年12月号(J220) 前のぺージに戻る    
    科学技術のアカデミー賞という異名を持つ「R&D 100 Award」において、2017年工業技術研究院(IRIT、以下「工研院」)は9つの大賞を獲得し、過去最多を記録した。そのうち「廃液晶パネル再利用処理システム(The LCD Waste Recycling System)」が審査員から高い評価を得て、「グリーン技術特別功労賞」(Special Recognition Award:Green Tech)を獲得した。
    工研院のニュースリリースによると、2017年工研院の受賞数は世界的に著名な研究機関であるオークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratory)、ロスアラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)とともに最多となり、マサチューセッツ工科大学(MIT)、アメリカ航空宇宙局(NASA)、ゼネラルモーターズ(GM)等を上回った。また多くの受賞技術はすでに産業界で実用化されている。
    工研院が2017年に受賞した技術には「AIによるビルディング省エネシステム(Building Energy Simulation Technology with Artificial Intelligence)」、「化学的SEI改質の長距離持続走行電気自動車向けリチウムバッテリー(ChemSEI-Linker)」、「筋音図認識によるウェアラブル・ジェスチャー・インプット・デバイス(CoolSo)」、「可視化されたエピタキシャル生産工程最適化システム(CyberEpi)」、「廃液晶パネル再利用処理システム(The LCD Waste Recycling System)」、「半導体の超音波アニーリング技術(CINmat)」、「電子システムの電力消費及び熱挙動に関するシミュレーション及び分析プラットフォーム技術(Power and Thermal-Aware Electronic System Level Platform)」、「半導体設備の故障予防診断ソフトウェア(Prognostic and Health Management Software in Semiconductors)」が含まれ、その応用範囲はスマートマニュファクチャリング、グリーンエネルギー管理、ハード/ソフト統合インテリジェントシステム、循環経済(Circular economy)等の世界の産業界から注目されるトレンディな分野に及んでいる。
    「廃液晶パネル再利用処理システム」技術が「R&D 100 Award」以外に「グリーンエネルギー特別功労賞」も受賞したことは、注目に値する。同賞は最先端の研究機関と国立研究所のメンバーで構成される審査員団によって選抜され、革新や研究開発に尽力し、その分野に卓越した貢献をもたらした技術又は機関を表彰するもので、2017年に同賞を獲得した技術は3項目のみであり、受賞するのは容易な事ではない。
    さらにハード/ソフト統合は世界のイノベーション・エコノミーの重要な牽引力となっており、工研院は長年にわたってハード/ソフト統合インテリジェントシステムの開発に尽力してきた。2017年は4項目のハード/ソフト統合技術が「ソフトウェア/サービス」部門で受賞し、「R&D 100 Award」審査員団から高い評価を得た。ここからも工研院のハード/ソフト統合分野における企業支援の成果と実力のほどをうかがい知ることができる。
    その中で「AIによるビルディング省エネシステム」技術はシンプルで分かり易いインターフェース、プルダウンリスト及び検索方法を採用しており、標準的なビルディングのエネルギーモデル及びデータベースを具え、屋根18種類、外壁28種類、窓324種類などの汎用される建材並びにエコマーク製品である電気設備7000種類が含まれている。現在、華南銀行(Hua Nan Bank)、全家便利商店(ファミリーマート)及び潤泰企業グループ(Ruentex Group)傘下の潤弘精密工程事業股份有限公司(Ruentex Engineering & Construction Co., Ltd.)で採用されており、ビルディングに最適な省エネソリューションを提供している。
    工研院の「廃液晶パネル再利用処理システム」は液晶を封入している2枚のガラス基板を分離した後、さらに湿式循環抽出法により液晶を取り出し、市販商品の規格水準を満たすように蒸留、吸着、ろ過等の段階的な工程を行って液晶に含まれる微量の不純物を除去して、液晶パネル生産工程に再利用する。1日当たり約3トンの廃液晶パネルを処理でき、年間の処理量は1000トンを超える。さらに同システムはナノテクノロジーが採用され、液晶を取り出した後のガラス基板を改質し、ガラスナノホール吸着材料として利用する。これは廃水における重金属に対して強い吸着力を有するため、国内の大量に重金属を含む電気めっき廃水の処理に適しており、役に立たないパネルガラスを高い価値を持つ環境保護の強い味方に生まれ変わらせることができる。
    また国立交通大学(National Chiao Tung University)、工研院、国家ナノデバイス研究所(National Nano Device Laboratories, NDL)が共同開発した「半導体の超音波アニーリング技術」は、2.45GHzの超音波でウエハのシリコン原子を加熱するもので、不純物の拡散を回避でき、低温アニール効果を得ることができる。さらに超音波アニーリング技術はバッチ処理で多くのウエハを処理でき、「快速アニーリング」が1枚のウエハしか処理できないのに比べて効率的である。この技術は国内企業に採用されており、さらに化学工業(カーボンファイバー分野)やLED等の産業でも派生的に応用されている。
    「R&D 100 Award」のベテラン審査員であるTim Studt氏は、「工研院が過去に受賞した実力は印象的だった。『2017 R&D 100 Award』の全部門において工研院の革新的技術がノミネートされており、これは容易なことではない。工研院のノミネートされた11項目の技術には新技術や新製品のトレンドが網羅されている。これこそ私が最も素晴らしいと思うところだ」と語っている(2017年11月)